ダンデライオン_12章_3(完)

イングランドはたまにひどく思いつめたような…何かをこらえたような目をしているようにスペインは思う。 言いたい事を言いたい放題言っているようでいて、本当に言いたい事は言っていないのではないだろうか……。 それはきっと自分の気のせいではない。 実際、イングラ...

ダンデライオン_12章_2

道中は、元々ジッとしてるのが苦手な親分は警護に混じって馬であちこち警戒してはるので、馬車の中にはうちとイングランドのみ。 「何か聞きたそうな顔してるな」 と、そこでお見通しの賢いうちの弟分は馬車の窓に付けられたカーテンを閉め、仮面をはずすと、ふ~っとため息を付きまし...

ダンデライオン_12章_1

みなさんこんにちは、ベルギーです。 大変です。うちのイングランドがグレてしまいました。

ダンデライオン_11章_2

最初はほんの好奇心だった。 深い意味は無い。 男女共に気に入れば手を出していた自分と違って、近頃羽振りの良くなってきた旧友が手を出すのは大抵女だった。 記憶にある範囲では男を相手にしていたことはない。

ダンデライオン_11章_1

――月の光がみせてる幻…一夜の夢だから、そんなに怯えないで、愛しい人 遠く窓が開いた気配に身を起こしてみれば、風に揺れるカーテンの中から現れる人影。 はちみつ色のサラふわな髪が月明かりに照らされて光る。 濡れて潤んだような紫がかったブルーの瞳は柔らかく笑みの...

ダンデライオン_8章_3

ベルギーの宗主国である スペイン親分 は、ベルギーがこの城に引き取られて来た頃にはすでに馬鹿みたいに浮名を流している男だった。

ダンデライオン_8章_2

イングランドが熱を出した。 なんだか疲労からきたものらしいが、その原因はどう考えても自分の宗主国、スペイン親分にあるとベルギーは思う。

ダンデライオン_8章_1

「自分の部屋?もうないで」 「はあ??」 国に帰ろうとしてスペインにみつかって、城に連れ戻された日のことである。 何故かスペインの部屋で目が覚めたイングランドが自室に戻ろうとしたらスペインに告げられたその言葉は、イングランド的にはなかなか衝撃的だった。 ...

ダンデライオン_7章_2

「まだ終わってへんで?イングラテラ」 と、それで許してやる気もなくて、スペインがその顔を覗きこむと、気を失っているイングランドの唇がかすかに動いている。 (…スペイン…スペイ……迎えに…来て……) つ~っと涙と共に溢れる本音。 それを認識した瞬間...

ダンデライオン_7章_1

どうやら自分は結構長い間、無自覚に恋をしていたらしい…。 それに気づいたその日に、もうなし崩し的に押し切って、その最愛の相手と結ばれて幸せな気分で眠りについた翌朝のことだ。

ダンデライオン_6章_4

…温かい……… 心地良い感触。 何かはわからないが、温かいものに包まれている。 薄めを開ければ欲を湛えたエメラルドの瞳

ダンデライオン_6章_3

「大丈夫やった?」 にこりと浮かべる笑みは、出会った頃によく向けられていた温かみのあるもので、最近あまりに向けられていなかったせいもあって、あまりに現実味がなくて、イングランドはとっさに反応できずにそのまま言葉もなくスペインを見上げた。

ダンデライオン_6章_1

一人ひっそりとスペインの城を抜けだして、自国への帰路をたどる道々。 ぽつりぽつりと降っていた雨はすぐやんだが、イングランドの目からこぼれ落ちる雨は当分やみそうにない。