ダンデライオン_6章_4

…温かい………

心地良い感触。
何かはわからないが、温かいものに包まれている。

薄めを開ければ欲を湛えたエメラルドの瞳

ああ…これは夢なのか……あいつに愛される可愛いレディになって求められている夢………
現実ではありえない…と、思った瞬間、ストンとそんな風に理解した。


そのまま温かい心地よさに身を委ねていると、スペインはみたこともないほど優しい…なのにひどく切羽詰まったような目で、イングランドをみつめた。

そして…イングランドの唯一になりたい…好きなのだと訴えてくる。

ああ…なんて幸せな夢なのだろう…。
もう一度聞きたくて、よく回らなくなった舌で

「…す…き?」
と聞き返すと、
「おん。めっちゃ好きや。」
と、イングランドが大好きな、あの太陽のような笑みを浮かべて言ってくれた。



夢でも良い…愛されたい……。

現実では決して出来ないが、夢では拒まれないだろうと、ぎゅうっとその首に腕を回してしがみつくと、強く強く抱きしめられて、いつのまにか完全に意識がなくなった。


意識が…なくなった?……夢なのに?


ふと意識が浮上した時、やはり夢の中のようで温かい腕に包まれていた。

前回と違うのは……体中が痛い…特に腰のあたりが…。

夢……なのか??

ふにゅりと自分の頬をつねってみる。


……痛い……。
夢……じゃない?!!!

まさかまさかまさかっ!!!

だって自分は男だしっ、なんで男女の交わりなんかできたんだ?!!
え?え?何がどうなってる??

そもそもスペインはベルギーを好きで自分を疎んじていて……
でも昨日は自分以外みんなが邪魔だとか言ってて……

どこまでが現実でどこまでが夢なんだ?!

混乱のさなか、腕の中でわたわたしているイングランドに気づいたのか、スペインがゆっくり目をあけた。


「おはようさん、イングラテラ。
昨日は自分が可愛すぎて加減できんくなってもうた。堪忍な?
体、大丈夫か?痛うない?」
当たり前に言われて、頭が沸騰した。


うああああ~~~!!!!!

思わずスペインを毛布から蹴り出してしまったのは、初めての朝としてはまずかったか…と、のちに落ち着いてからは、イングランドも思った。

しかしこの時は本当に混乱しまくっていたのだ。

そう、仕方のないことだったのだ。



Before <<<    >>> Next  


0 件のコメント :

コメントを投稿