…温かい………
心地良い感触。
何かはわからないが、温かいものに包まれている。
薄めを開ければ欲を湛えたエメラルドの瞳
現実ではありえない…と、思った瞬間、ストンとそんな風に理解した。
そのまま温かい心地よさに身を委ねていると、スペインはみたこともないほど優しい…なのにひどく切羽詰まったような目で、イングランドをみつめた。
そして…イングランドの唯一になりたい…好きなのだと訴えてくる。
ああ…なんて幸せな夢なのだろう…。
もう一度聞きたくて、よく回らなくなった舌で
「…す…き?」
と聞き返すと、
「おん。めっちゃ好きや。」
と、イングランドが大好きな、あの太陽のような笑みを浮かべて言ってくれた。
夢でも良い…愛されたい……。
現実では決して出来ないが、夢では拒まれないだろうと、ぎゅうっとその首に腕を回してしがみつくと、強く強く抱きしめられて、いつのまにか完全に意識がなくなった。
意識が…なくなった?……夢なのに?
ふと意識が浮上した時、やはり夢の中のようで温かい腕に包まれていた。
前回と違うのは……体中が痛い…特に腰のあたりが…。
夢……なのか??
ふにゅりと自分の頬をつねってみる。
……痛い……。
夢……じゃない?!!!
まさかまさかまさかっ!!!
だって自分は男だしっ、なんで男女の交わりなんかできたんだ?!!
え?え?何がどうなってる??
そもそもスペインはベルギーを好きで自分を疎んじていて……
でも昨日は自分以外みんなが邪魔だとか言ってて……
どこまでが現実でどこまでが夢なんだ?!
混乱のさなか、腕の中でわたわたしているイングランドに気づいたのか、スペインがゆっくり目をあけた。
「おはようさん、イングラテラ。
昨日は自分が可愛すぎて加減できんくなってもうた。堪忍な?
体、大丈夫か?痛うない?」
当たり前に言われて、頭が沸騰した。
「うああああ~~~!!!!!」
思わずスペインを毛布から蹴り出してしまったのは、初めての朝としてはまずかったか…と、のちに落ち着いてからは、イングランドも思った。
しかしこの時は本当に混乱しまくっていたのだ。
そう、仕方のないことだったのだ。
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