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可愛い愛しい子猫ちゃん スペインが雨の中拾った子猫はひょんなことから姿を変えたイギリスだった。 国の時と同様の素直じゃない正確に最初は反発を感じるスペインだが、そのうち絆されていって… 親分と子猫 世界会議を前に国体に戻ったイギリスだが、子猫が突然消えた事に動揺し悲...
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1章 国を守りたくて王様になった元将軍アントーニョは王様になった途端守るより守られてくれと言われるようになり、鬱々とした日々を送っていた。そんな中強引について行った最前線。戦いに勝った後、戦場跡をこっそり見回っていたアントーニョが見つけたのは、謎の死にたがりの少年だった。 ...
壱ノ巻_京の都でべらんめえ 舎人サディクが仕えるのは、帝の息子アントーニョ。 帝の一番のお気に入りと言われ、花の都で権勢をふるっているように見えるアントーニョだが、実はままならぬ気持を抱え鬱々としていた。 弐ノ巻_恋の目覚めは紫 理想の愛を追い求めつつ挫折続きで落...
「結局な、お前がちゃんと自分でマカオを一番に選ぶかを試すことにしたんだ」 号泣するマカオを抱きつかせたままソファに落ち着いたポルトガル。 スペインがトポトポとワイングラスにワインを注ぐ横でイギリスが事の次第を説明し始めた。
イギリスの別宅をあとにしたのは1週間ほど前のことだ。 あの時の自分に会えるとしたら、殴り倒してでもスペイン行きを留まらせたい。 本当に…自らが招いたものとはいえ、本気で笑えない。
『お前の兄貴分…普通は別のやつを優先されたりベタベタされるのは嫌なもんなんだって言うことを、理解させてやってくれ。爺ちゃんにはもう無理 ( ;∀; ) 』 ちょうど夕飯を食べ終わり、マカオとイギリスが仲良く色違いのエプロンをつけて洗い物や食器の片付けをしているのを眺め...
「何があかんのやろ…。可愛えもんはしゃあないやん」 ロンドンのとあるパブでグラスを傾ける男二人。 言うまでもなくローマとポルトガルである。 あの日からずっとポルトガルはロンドン市内の安ホテルに泊まり、毎日ローマと飲み歩いては二人して詮のない話ばかりしている。...
その数時間後…。 すごい勢いで鳴らされるドアベルに怯えてマカオにしがみつくイギリス。 事情がわからず、でも大国であるイギリスがここまで怯える様子にさらに怯えてイギリスにしがみつくマカオ。 そんな風に居間のソファで二人が抱き合って震えていると、やがてドアベルが...
「…これ…何してくれとるん?」 視線で人を殺せそうな勢いの殺気。 スペインの自宅から即飛行機に乗り込み、ヒースロー空港に降り立ったイベリア兄弟を捕まえて、さきほどイギリス宅で撮ったデジカメの画像を見せたら、スペインがマジギレした。
その身軽さにぽか~んと口をあけて呆けるマカオの横で頭を抱えるイギリス。 やがてスクっと立ち上がると、マカオを見下ろして宣言した。 「おい、逃げるぞっ!」 「はぁ…?どうしてですか?」 展開についていけない。
マカオがここに滞在するようになった翌日、国に帰った香港と入れ違いにポルトガルが来て、マカオとイギリスの付き合いを見てその翌日に帰ったが、その日の午後、やっぱり妙に馴れ馴れしい知らない初老の男が何故か訪ねてきた。
…なるほど…これが噂の…… あれからずっとマカオが滞在中のイギリスの別荘に、もう一人滞在者が加わった。 イギリスと二人きりの時にはマカオが食事を作っていたのだが、今は朝起きるとすでにキッチンから美味しそうな匂いが漂っている。 鼻歌まじりにフライパンを揺す...
「自分…いつまでヘタレとるん?ちゃっちゃとお姫さん捕まえや。」 スペインが楽しく畑仕事をして帰宅したら、家の前に自分に似た顔の男が立っていた。 それだけでもイレギュラーな事なのに、なんと男、ポルトガルはいきなりスペインの襟首を掴んでそんな事を言うのだ。 明日...
そんなことを考えながらポルトガルがベッドの上でゴロゴロしている時、イギリスの部屋では枕を抱えたまま、マカオが立ちすくんでいる。
「ああ、俺がやるからいい。お前は座ってろよ、マカオ。 おい、ポル、それはこっちな~」 翌日、とるものもとりあえずイギリスの別荘に訪ねて行ったポルトガルは、追い出されこそしなかったものの、思い切りこき使われている。
「やっぱ来たっすね。ま、これからが本番的な?」 ポルトガルと別れて即イギリスが向かったのは自国の別荘の1つ。 現在マカオと香港と3人で泊まっている。 イギリスにスルーされたらマカオの方に連絡が来るであろう事は火を見るより明らかだというのは3人共通した意見で、案の定来たポ...
――ポル、お前マカオと親しかったよな? 最近、あれだけマメに折々につけて連絡を寄越していたマカオから音沙汰がない…と思いつつも、飲みに誘われたのでイギリスと飲んでいた時に、そう聞かれてポルトガルは珍しい人物から珍しい名前を聞くものだ…と、首をかしげた。
――ちょっと急用入って今日行けへんようになってもうた。悪いな。 ああ…やっぱり……。 世界会議の会場近くにあるホテルに取った部屋の一室で、マカオは携帯を片手にため息をつく。 そろそろ会議が終わるであろう時間にメールが来たあたりで予想はしていた。 ただ遅れるだけならば、...
(大英帝国なんて言われてたけど、この人めちゃくちゃウェットで少女趣味な人だし? マカオはマカオだし?) と、そんな二人してオロオロしているイギリスとマカオを眺めながら香港はコーヒーを淹れて、自分の分を啜る。
――ああ…また見とる…。 世界会議後、自分の弟分スペインにこっそり熱い視線を送るイギリスにポルトガルはため息をついた。