『お前の兄貴分…普通は別のやつを優先されたりベタベタされるのは嫌なもんなんだって言うことを、理解させてやってくれ。爺ちゃんにはもう無理( ;∀;)』
ちょうど夕飯を食べ終わり、マカオとイギリスが仲良く色違いのエプロンをつけて洗い物や食器の片付けをしているのを眺めていると、メールが届いた。
――何故あの爺、天国在住のくせにスマホなんて持っとるんや
などと思いつつも、メールを開くと、冒頭の文章。
ん~~とそこで考えこむ。
そうなると……
一応イギリスも手を出された様子もなく無事こうしているので、おそらく自分も色々経済的にとか軍事的にとか頼ってはいたのだろうが、個人としては守っていてくれていたのであろうポルトガルに感謝をしないでもない。
なので、あまりにショッキングなものを送るのは気が引ける…が、最終的には多少慌てた方がポルトガルのためではある。
そう思って、ここ1週間で自分が撮ったもの、イギリスが撮ったもの、色々写真を吟味して、スペインは結局自分とマカオがイギリスに借りた色違いのエプロンをつけてキッチンに立っている写真を選び出した。
ポイントはぼ~っとしていたマカオが基本的な調味料を間違ってほのかに赤くなっているところである。
自分がリカバリーしつつ、気にしないで良いと、笑いかけてるので、見ようによっては笑いかけている自分にマカオが赤くなっているようにも見える絶妙の一瞬だ。
グダグダと解説をつけても後が面倒なので、ただタイトルに【こんなもんでええ?】とだけ入れて、本文なしで送りつけた。
さあ、状況が動いたところで、そろそろこの和やかな生活も終わりに近づいたようだ。
「二人とも、皿片付け終わったら最後の作戦会議やで~」
と、声をかけると、金と黒の可愛い頭が同じタイミングでクルリと振り返る。
金の頭は嬉しそうに、黒の頭は不安げに…。
「たぶんな、時間はそうないと思うわ。
爺はロンドンにおるみたいやし、ポルトガルも一緒やから」
そう…もしポルトガルがここを訪れたなら、取る行動は3人あらかじめ決めていた。
散々揺れたマカオも固く決意をしている。
本人が決意しているのだ。
もちろんスペインにしてもイギリスにしても協力しないというほうはない。
「ほな、着替えておいで」
と、スペインが二人の頭を撫でてやると、二人してコックリと頷いて部屋へと戻っていく。
それを見送ってチラリともう一度ローマから来たメール、そして自分が送り返したメールに目を通すスペイン。
「ほんま…選択間違えんといてなぁ、ポルトガル。
マカオめっちゃええ子やし、泣かせたないし…」
と、つぶやく。
まあ…ついでに自分が情けなく泣くのも、あんま見てて楽しいもんやないから見たないわ…と、これは心のなかで付け足しつつ、携帯をしまうと上手くいってもいかなくても開けることになるワインとワイングラスを用意しに、キッチンへと向かった。
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