kmt 虚言
「ああ、村田、わざわざ足を運ばせて悪いな。 本当はこちらから出向けばよかったんだが…」 と、しばらくすると5男をまとわりつかせながら随分と立派になった同期が笑顔で顔を見せる。
「村田~!手合わせしようっ!手合わせっ!」 渡辺家のご立派な門をくぐると、つい最近まで末っ子だった5男で7歳の勇兎が竹刀を持ってまとわりついてくる。 その声を聞きつけて、奥から10歳になる透寿郎までやはり自分の竹刀をひっつかんでくるのを見て、これは無事では帰れないな、と、村田は内...
──実弥、さ~ね~み~~!!! 今日も元風柱屋敷、現不死川家には元気な少女の声が響き渡る。 「…帰れェ、お前の父ちゃんも兄ちゃんや弟達もおっかねえんだからよォ」 ガラガラっと玄関の戸を開けると、不死川実弥はため息をついた。
甘露寺も宇髄の嫁も、祝言には鮮やかな色打掛を選んでいた。 だが、義勇の記憶にある幸せは白無垢の色形をしている。
「意外でしたよねぇ、卒がなさそうな錆兎さんが…」 「う~ん…一緒に居すぎてそれが当たり前になってて忘れちゃってるんじゃない?」
「…話……」 まさか祝言をやめるとかそういう話では?!と、瞬時に青ざめる義勇。
義勇は急ぎ足で帰宅の途についていた。 家を出る前に夕飯の下ごしらえはして出ていたが、帰りが少し遅くなり過ぎた。 錆兎が戻ってくるまでに夕飯が出来ないかもしれない。
伊黒と甘露寺が、そして宇髄と嫁達が祝言を挙げた。 宇髄達が今消化している休暇が終わって少し経ったら今度はとうとう義勇達の祝言である。
まあ色々お騒がせな血鬼術ではあるが、少なくとも炭治郎の関係では良い方向に影響したのか…と、そんなことを思って胸をなでおろしていると、いきなり鎹鴉がバタバタと飛んできて火急の旨を告げてきた。 なんと!一緒に任務についていた甘露寺と義勇が例の部屋の血鬼術を喰らったらしい。
──錆兎、今まですみませんでした!! そろそろ最初の祝言組、伊黒と甘露寺の祝言の日が近づいていて仲人をするお館様夫妻の支度や夫妻からの結婚祝いや祝言関係、伊黒達の新居の手配、彼らが稼働しない間の柱以外の任務の調整その他諸々で錆兎も忙しい。
最近鬼殺隊で恐れられている血鬼術がある。 〇〇しないと出られない部屋 …というものだ。 それを喰らうと見知らぬ空間に閉じ込められ、そこに書いてある指示に従わないとその空間から出られないという、実に不可思議な血鬼術だ。
「申し訳ありませんっ!!ほら、炭治郎、お前も謝ってっ!!!」 数日後…善逸は炭治郎の隣で女性陣に土下座をしていた。
──…ということで、義勇さんは本当に心から錆兎さんのこと好きみたいだから無理だよ、諦めなよ 次の任務までお世話になっている藤の家の一室で、善逸は先日の女子会の会話を炭治郎に話して聞かせる。
蟲柱はどうやら女性の味方…なのは良いが、過激派らしい。 女に暴力をふるうような男は断固として許すまじ!…という確固たる思いがあるようだ。 今は風柱の話だが、炭治郎だって度を過ぎれば彼女の言う“薬”を使われる可能性もある。 …というか、柱ですら怪しげな方法で追い払われるなら一般隊士...
「きゃあぁぁ、義勇ちゃん、今日はとっても可愛らしいわ」 「ええ、れえすの半襟とその襟元のブローチがすごくお似合いです」 「あら、もしかしてブローチと髪飾りがお揃い?」 「まあ…本当。とみ…ぎゆうさん、実はおしゃれだったんですね」
鬼殺隊に入ったら当然給金が出る。 しかし柱やそれに準ずる上の方の身分でなければ、生活には困らないにしてもものすごく贅沢を出来るほどの収入を得ているとは言い難い。 そんな状況で、善逸の好物であるウナギはめったに食べられないくらいの贅沢品である。 それを誕生日や祝い事でもないのに奢る...
自分と錆兎の祝言についても言及された柱合会議二日目、そしてその後の産屋敷家での奥方様との新居の相談、さらにその後、錆兎と一緒に夕飯の買い物をしつつの帰路まで、今日一日は幸せの連続だった。
不死川と分かれたあと、二人はいったん産屋敷家の一室へ向かう。 そこにはいそいそと設計図やらカタログやらを広げた奥方様。 「なんだか長男が嫁をもらって敷地内別居をするような気持ちになりますね」 と、機嫌よく諸々を説明してくださる。
デカい…怖い…と、とっさに思ったのは、胡蝶ほどではないにしろ162cmの伊黒より若干小さいくらいに縮まった自分の身長のせいもあるだろう。 が、それ以上にそう言ってきた不死川はなんだかひどく気を張りつめている感じで、また殴られるのか…と思ったら思わず体がこわばった。 175cmで筋...
元々産屋敷邸に泊まっていたため、移動は館内のみ。 いつもなら中庭に皆と並ぶところだが、今日は女になっていることに対する説明をする前に女の姿でそこにいたら大騒ぎになるだろうということで、まずはお館様が打ち合わせ通りの説明をして下さったあと、姿を見せることとなった。 なので最初はお館...