kmt 白姫錆義
── 義勇、今日夕飯何が食いたい? ── 課長補佐、社内でじゃれつくのはやめてください。 … 食事はシュニッツェルが食べたいです。 終業時。 後ろから抱きついてくる錆兎を軽く交わしながら、それでも夕飯については真剣な様子で考えて伝える義勇に、女子社員も含めたフ...
「義勇君、お~ね~がいっ!!」 「いくらレディのお願いといえど、嫌ですよ。勘弁してください。 どうしてもなら、課長補佐にお願いしてください。 課長補佐だって綺麗な顔立ちはしていらっしゃるでしょう?」 「え?俺かっ?!!」 「だって約束違いますっ...
またやられたっ!! 帰宅後に義勇にどうしてもと買い物を頼まれて、車で 10 分程の店に買いに行って戻ってきたら、リビングに置き手紙を残して義勇が消えていた。
──村田…また泊めてもらってはダメか? 義勇に電話して自分だと名乗ると、開口一番それを言われた瞬間に、村田は絶望した。 そしてまた思う… 前門の虎 ( 真菰さん ) 後門の狼 ( 鱗滝課長補佐 ) …と……
──村田、村田~!!! と、今日もいつものように当たり前に呼び付けられる。 入社して数カ月後、バカンスの期間が終わると日常が戻ってきた。
翌日…疲れ過ぎて眠る義勇を昼過ぎまで待って起こすと、ゆっくりと昼食を摂り、その後に宝飾店へ。 そしてお揃いの指輪を注文。 2 週間後に受け取って最初に食事をしたレストランでそれを互いの指にはめて、婚姻届に名を記入。 役所に提出するのは帰ってからということで...
色々が実に和やかに進んだオンラインゲーム内のギルド仲間への報告会も、以前ログインしていた頃の習慣で、0時を過ぎた頃にお開き。 ああ、楽しかった。 そろそろ寝るか~!となった時、何故かパタンとPCを閉じて、当たり前にそのままぱふんとベッドに横たわる義勇に目が点の錆兎。 ...
──久々に一緒にログインしようっ!! …と、それが錆兎に言えた精いっぱいだった。
片付けが一通り終わると、日はもう西に傾いていた。 なので、錆兎は急いでシャワーを浴びると服を引っ張り出して着替える。 そう、義勇はすでに着替えさせていたが、自分は大荷物を運ぶというのもあって、車を運転していた時のラフな格好のままだったのだ。
高速は流れが止まるほどではないがやや混んでいて、錆兎はたまに少し困ったように綺麗な形の宍色の眉を寄せている。 そうして12時を少し回った頃に辿りついた大きめのサービスエリア。 大きな駐車場はほぼ満員で、その中で空きの表示のある列に進んで車を止めた。
バカンスに出かけることを決めてから出かけるまで中 1 日空いたのは何故かと言うと、錆兎のたっての希望で、選択の幅の多い都会で女装用の洋服を買うためである。 ──だってな、これ逃したら早々にそんな機会ないだろうし、とびきりの格好をしたお姫さんとデートしたいだろう! ...
恐ろしい…現在、錆兎は実に恐ろしい体験をしている。 錆兎 in 某ホテルのデザートビュッフェ。 甘い物は食べられなくはないがそれほど量は食べない。 一口もあればいい。 そんな錆兎がデザートビュッフェに来ているのである。
こうして無事邪魔者は追っ払ったところで、本番だ。 義勇に関しては事情を聞きたいだけで、別に脅して拘束したいわけではないのだ。 まあ…手放してやれる気はしないので、事情が分かれば穏やかに優しく…しかし断固として説得するつもりではあるが……
悲報!!!…打ち合わせで30分ほど離席したら可愛い可愛い愛息子に先に帰られた…
──もしかして…冨岡? それはバカンス直前の日にあった打ち合わせの帰り道のことだった。 隣には上司の真菰。 彼を先に見つけたのは当然彼女だった。
どうしよう… と、義勇は思う。 本当に…自分は課長補佐の人の良さを舐めすぎていた。 よもや勝手にネットゲームをやめたユウを未だに心配してくれているなんて思ってもみなかったのだ。 しかもそんな不義理をしたのに、ひょっこり戻ったら必要とされているなら手を差し伸べて...
課長補佐が結婚…… 自宅に戻って上着だけ椅子に放り出すと、義勇はベッドにもぐりこんでテディを抱きしめて声を押し殺して泣いた。 昼休みの女性社員達の会話を思い出すと、胸がずきずき痛んで涙が止まらない。
「錆兎さんのことなんだけど…」 と、それでもうながされたのもあって最初に一歩踏み出してきた女性が口を開いた。
視線、 視線、 視線、 視線…… 化粧品のポスター撮りが終わって数日… 様々な視線が義勇に向けられる。 鱗滝課長補佐と並んで化粧品のポスターにということで、一気に有名人になったのだろう。
…かっ……こいいっ!!! 今日はポスター撮りとのことで課長補佐と義勇に化粧を施すためにメーカーの方からプロのメークアップアーティストが来ていた。 そして普通に社内にあるスタジオでメイク済みの私服の課長補佐がカメラの前に立っている。