kmt 桃太郎
「頼光~!あっち行って遊ぼ!」 「頼光様、それより笛を吹いて下さいませ。ひなきが琴をひきますので」 「右近様、にちか、美味しいお菓子を持参いたしましたのよ。ご一緒に…」 「あら、ありがとう!右近にい、花火と一緒に食べようよ!」 「お待ちなさい!わたくしは右近様と二人で頂こうと思っ...
総勢9名。 しかし夜明けまではまだ遠い。 いくら鍛え上げた柱とて、一晩全力で戦い続けるのはあまりにきついし動きも鈍くなってくる。
「…なんだか…ほどよく緊張がほぐれるね…」 ずず~っと茶をすすって言う産屋敷に、
そうして歩きながらも九郎はよくしゃべるしゃべる。 雑魚相手に本気を出さない村田がいかに格好良かったかなど、不死川の地雷の上で足踏みをしまくった挙げ句、口した話題は
6月21日…世にいう夏至の日の夕方のことである。 もう隠すこともないということで、ゆるゆると徒歩で産屋敷邸に向かう錆兎、宇髄、不死川…の後ろをついて歩く一人の少年隊士。
…ぎ殿……内儀殿…… 少し子どもたちと昼寝でも…と思っていたら、おもいのほかぐっすりと眠ってしまっていたようだ。 声に目を覚ませばもう日が落ちたらしく部屋が薄暗くなっている。
意外というか案の定というか、継子柱の中では不死川が一番赤ん坊の世話が上手く、また好きだった。 錆兎がやると思い切り肩に乳を吐かれるゲップを出させる作業も、不死川がやると上手に出来る。 まあ父親としては若干情けなさも感じるところではあるが、それでも嫌な気はしなかったのは、ひとえに赤...
「うわぁ…小さい…」 「お前も昔はこんなんだったぞ」 と、錆兎が渡されておっかなびっくり抱いているというよりは手に乗せられた状態の赤子の一人を覗き込む千寿郎と杏寿郎。 一人は鱗滝が抱いてうんうんと頷きながら涙をこぼしている。 最後の一人は雛鶴が抱いて宇髄に見せに来た。 「天元様ぁ...
──錆兎殿、邪魔です!あちらでおとなしく待っていて下さい! かつて桃太郎相手にここまではっきりきっぱり言い放った人間がいただろうか… 錆兎の尊敬する師範や、上司であり彼女の夫であるお館様ですら、錆兎相手にここまでの言い方をしたことはない。 だが、天下無敵の桃太郎も、お産の支度に入...
そんな会話が水柱邸で交わされている頃、産屋敷邸ではまさに無惨戦について話し合われていた。
そんな中で義勇はと言うと、大きくなってきたお腹を抱えてせっせせっせと赤子の着物やオムツを縫っている。
「あ~、おじいちゃん、また作っちゃったの? まだ生まれてもいないのに、気が早いなぁ…」 「お~ま~え~はぁぁ~~!!! 元水柱様になんて口のききかたしてやがる!!!」
そして夜…そこは昼より夜の方が賑わう遊郭街吉原。 「そこの素敵なお兄さん、寄っていかない?」 宇髄と二人で歩けば左右の見世から遊女たちがひらひらと真っ白い腕を伸ばす。 甘いおしろいの匂いや酒の匂い。 継子柱達は場所柄に慣れず戦いにくいだろうとお館様には言ったわけだが、考えてみれば...
全て打ち明けてしまった事によって、まどろっこしいことは何もなく、順調に終わる打ち合わせ。 鬼との戦いは夜と決まっているため、夕方までは藤の家で待機がてらの打ち合わせだったのだが、こうなると時間が余り手持ち無沙汰になって、話は自然と互いに嫁のいる身ということで嫁の話題へ。
──お前さぁ、この分担で本当にいいわけ?俺が兄貴を受け持たねえ? 普段は水柱邸にいる同期や継子柱達と一緒のことが多かったため、本当に久々の宇髄との任務。 もしかしたら最初の任務以来かもしれない。
そうしてまずは報告に産屋敷邸を尋ねる。 明け方だというのに産屋敷は病身をおして待っていてくれたらしい。 すぐに部屋に通されて、錆兎は上弦の弐と参が倒れたという報告を済ませた。
…あれを…試すか。 相手は氷を操る鬼。 こいつが作り出す霧を吸い込めば肺が壊死する。 だから気を込めるのはなるべく呼吸が思い切りできる少し離れた場所で。 炎の奥義、煉獄あたりでも良さそうだが、あれは打つ前の溜めが少し長いのでかわされる可能性がある。
水柱屋敷を出たのはまだ夕方にもならないうちだったが、気づけば太陽は西に沈み、空には綺麗な満月が浮かんでいた。
「だ~か~ら~、本当に偶然なんだってっ! 上弦の肆の本体だなんて知らなかったんだってばっ!!」
──ひぃっ!!ツヤツヤがいるなんて聞いてない!!! ──あ~はいはい。俺だってさっき命令受けて来たところだからね そんなことを言いながら、すでにびびって逃げかけている鬼をサクっと斬る。