kmt 少女で人生やり直し中
言うべきことは言ったとばかりに、上弦の参に集中する槇寿郎。 燃え上がる闘気。
結論から言うと、任務は炎柱煉獄杏寿郎の父で師範であった槇寿郎が出向いて解決した。 炭治郎も禰豆子も鬼殺隊に入ってからは杏寿郎の継子という立場ではあるものの、柱として忙しく飛び回る杏寿郎よりも第一線から一歩退いた槇寿郎に学ぶことの方が多かったため、その実力を知ってはいる。 だが、実...
「それはだめだっ!杏寿郎を行かせたら死ぬっ!!」 炭治郎と禰豆子は煉獄の継子となってもしばしば水柱家を訪れて近況報告をしている。 その日も明日、師範の杏寿郎に随行して行く任務にたまたま同期で仲の良い善逸と伊之助も一緒に参戦することになったのだと、炭治郎がどこか嬉しそうに言いつつ、...
そうして錆兎の任務の話が決まったあと、他の同僚たちにも頼みたいことがあるからとその場を辞しようとする錆兎をお館様が引き留めた。
先生が呼吸の適性について説明をして、真菰が今後について説明をした。 受け入れ先としてすでに煉獄家には打診し、了承を得ている。
師匠と弟子、2代で隊士とするため鍛え上げてきた弟子たちが最終選別を終えて戻る予定の7日目の朝、錆兎は師匠の鱗滝先生と真菰で藤襲山の麓で3人を待っていた。 義勇も来ると言ったのだが、あいにく彼女は最近腹に5人目がいるとわかったところで、大事を取って花柱屋敷に預かってもらっている。
「宇髄…すまないが明日の任務を代わってもらえないだろうか…」 「おう、いいけどよ、なんだ?嫁か子の体調でも悪いのか?」
身元引き受けの了承をされてからはひたすらに特訓だった。 炭治郎は錆兎に、そして禰豆子は真菰に刀を教わる。
「話は先生から聞いた。 お前たちは隊士になりたいということだが……」 禰豆子がこれまで見ていた錆兎はいつでも笑みを浮かべていた。 住み慣れた故郷を離れる子どもたちが少しでも心細さを感じないように、大丈夫、大丈夫と言いながらこの狭霧山まで誘導してくれたのである。
2年ぶり…そう、2年ぶりの再会だ。 当時は禰豆子も12の少女で子どものように見えていたかもしれないが、今では14、お年頃の娘だ。
今日…2年ぶりにあの人が来るらしい。 会えるのは嬉しくて…でも怖い。 それでもやっぱり会いたかった人……
それは久々の休暇だった。 鬼殺隊の隊士はみな忙しいが、特に柱の忙しさは群を抜いている。 だから1週間も長期休暇が取れたのは、本当に奇跡のようだった。
──大急ぎで雲取山に向かって欲しい。 それが錆兎の愛妻の突然の言葉だった。
──毎回毎回すまんな ──ううん、赤ちゃん可愛いし、みんな預かるの楽しみにしてるのよ 今日も水柱とその嫁が赤ん坊を抱いて花柱屋敷に預けに来る。
気づけば大きなおなかを抱えたまま、義勇は18の誕生日を迎えた。 来年の今頃はきっと、大小の錆兎に囲まれているのだろうなと、おなかを撫でながらムフフっと笑う。
甘かった… 祝言から3か月ほどの時が過ぎた頃、本当に自分の考えが甘かったことを義勇は思い知ることになる。
どうしよう…錆兎がかっこいい…… よく”三国一の花嫁”という言葉があるが、自分たちの場合は花嫁の自分よりも隣で紋付を着ている錆兎の方がよほど素晴らしい”三国一の花婿”である。
水柱の18歳の誕生日兼祝言はものすごい騒ぎだった。 なにしろ柱だけではない。 彼と任務を共にしたことのある隊士や立ち寄ったことのある藤の家の関係者、助けられた街の人々までお祝いだけでも…とさすがに入りきらぬ屋敷の外で列をなしている。
その年の4月8日は朝からどころか数日前から慌ただしかった。 鬼殺隊の桃太郎、鬼退治の代名詞にして鬼殺隊の御旗、水柱渡辺錆兎の誕生日というだけではなく、祝言を挙げる日だからである。
2月8日、義勇は今生で17歳になった。 前世では柱になった年齢である。 まあそんなのはどうでもいい。 男のままだったとしても錆兎が生きていれば錆兎が柱になったに違いないし、柱の座というものに執着もない。