少女で人生やり直し中_63_息子争奪戦

そうして錆兎の任務の話が決まったあと、他の同僚たちにも頼みたいことがあるからとその場を辞しようとする錆兎をお館様が引き留めた。

そして
「子どもたちはどうするんだい?
5男の教育につきっきりだと他の子も可哀そうだろう?」
と、可哀そうと言う言葉のわりにどこか嬉しそうな顔でのたまわる。

「はあ…元々花柱屋敷でカナエと実弥がよく面倒を見てくれているので頼もうかと…」
と錆兎がそれに答えると、なんといきなり
「それなんだけどね、頼光をうちにくれないかな?」
などと身を乗り出された。

「は??」
本当に唐突に言われて口を開けて呆ける錆兎に、お館様はにこにこと、
「輝利哉のためにずっと一緒に居られる信用のおける腹心を育ててやりたい。
剣術は引き続き続けさせながら同時に輝利哉の補佐役として色々を学んで欲しいんだ。
うちは娘が4人もいるしね。
4歳差なら私とあまねと同じ年の差だ。
ゆくゆくは4人の誰かの婿になって産屋敷を支える人材になって欲しい」
と、なんだか熱く語られる。

「本当は4人の娘に4人の婿をと言いたいところだけど、全員連れて行ってしまったら他の子に恨まれそうだしね。
1人ならいいだろう?」

先に言っておかないと全員行き先が決まってしまうと、なんだかまるで皆が息子たちを引き取りたがっているようなことを言うお館様の言葉を不思議に思いながらも、面倒を見て頂けるならと了承し、産屋敷家を出たところでいきなり宇髄に出くわした。

そしていきなり
「よお、お前息子の預け先探してるって?」
かまされて心底驚く。

いやいや、どうしてそれを知っている?!
と思って言葉もなく小さいとは言えない自分よりもさらに頭一つ分でかい宇髄を見上げると、彼はニカっと
「忍者の諜報力舐めんなよっ」
と笑った。

「俺んとこにも一人頼まぁ」
と続けて言われて、錆兎は戸惑う。

「いや…宇髄のところは奥方が3人もいるし、自分の子を持つのが先だろう?」

親切心かもしれないが、さすがに子作りに忙しいであろう家にまで、と、暗に遠慮する旨を告げると、宇髄は苦笑。

「俺の子を作んのは隊士を引退してからって決めてっから、うちは。
女房も3人揃って無事で俺も無事で4人で荒事から無事引退したら…。
お前んとこみたいに最悪引き取ってもらえる爺さんとかいねえしな。
でも時期逃したら産めねえ可能性もあるし、嫁達が子育てってのをしてみてえってずっと言ってたんだよ。
どうせ育てるんでも俺と張るくらいには派手に見た目が良くて優秀なガキが良いし、お前んとこのならちょうどいいんじゃね?ってことで、他に取られる前に大急ぎで交渉に来たってわけだ。
嫁達は俺の仕事の手伝いをすることもあるが、3人いるからな。
誰かは子守のために家に残ることも可能だし、責任持って剣術も体術もその他諸々の教養も教え込む」

そうまで提示されてぜひにと言われれば、他でもない宇髄が相手であることだし断る理由もない。
2歳の双子の片割れをお願いする約束をして、錆兎は花屋敷に足を向けた。


こうして最後に足を向けた花柱屋敷。
カナエだけではなく不死川もいて、長子の頼光と2歳の双子の片割れはそれぞれお館様と所と宇髄の所に預ける旨を伝えたら、カナエにかつてないほどに激怒された。

言ってくれれば全員そろってうちで預かるのに!!と言われて、それぞれに預けるのには理由がある旨を説明すると、不死川が間に入ってくれて、

「あ~、そういう理由じゃしかたねえじゃねえかァ。
でもあれだろ?右近と3番目の…勇兎は二人ともうちだろ?
なんだったらあれだァ、錆兎が言う最低5年ってことなら、ほぼ本当の親代わりだし、カナエェ、いい加減所帯持たねえかァ?
なんだったら俺がこっち住んでも良いし、そうじゃなきゃ、風柱屋敷に夫婦とガキ二人で住んでここまで通ったっていいからよォ」
と、さらに話を進めていく。


そのあたりは二人でご相談ということで、4人を最低5年ほど預かってもらうあてが出来たところで、錆兎は安堵しながら水柱屋敷に戻った。

その後…炭治郎と禰豆子のいる炎柱屋敷でも一人預かりたいと大騒ぎになるのだが、この時はとにかく全てめでたしだと、足取り軽く愛妻の元へと帰ったのである。





2 件のコメント :

  1. 続きお願いします。゚(゚´Д`゚)゚。

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    1. 続き…お願いされました(≧▽≦)
      リクエストありがとうございます。
      とりあえず少し書き貯めてある分があるので公開します😊

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