ブラコン
さて、ブラコン全開になることにしたところで、まず何をするか… 「アルト、ちょっとこっちに来い」 「うん?」 ギルベルトが両手を広げると、なんの疑問も抱かず近づいてくる可愛い弟。 それを玄関先で抱きしめる。
さあ、問題です。 兄弟で恋人…そんな関係を世の中ではなんと呼ぶでしょう? 答え: 変態 そう、変態だよなぁ……
スイッチが入ってしまったらしいギルベルトにまくし立てられるエリザを前に遠い目をしながら、はこのままじゃ帰れない、と、決意をして、フェリシアーノはズズッとシェイクを一気に吸い尽くした。
「ストーカーかよっ!」 誰かが自分の可愛い可愛い天使のような弟につきまとってる。 もちろん、アーサーが可愛いのは出会った時からずっとだ。
「おい、エリザ。ちょっといいか?」 珍しく連絡を入れて朝練を休んだギルベルトは、随分と険しい顔で登校してきた。 そして半日を周りが引くレベルで不機嫌に過ごしたあと、昼休み、弁当を広げようとしたエリザの腕を、質問形式にはしているものの、拒否権は与えねえと言った感じに掴ん...
「あの鉄壁の理性を崩せば、あとはなし崩し的に突っ走るタイプだと思うんだけどねぇ…」 はぁ~っとため息を付きながらこぼすエリザに 「何か手はないんですかっ!人事を尽くさなければなりませんっ!」 と、真剣な眼差しで語る菊が、その手に握るのは季節限定商品、抹茶あずきシェイク...
「おはよ~、ギル。 あら?なんか元気ないわね?どうしたの?」 どよ~んとしていた前日。 そして今日は明らかに寝不足な目でぼ~っとしている主将様にエリザがそう声をかけた時点で、今日も主将は朝練休みだな、と、部員たちは無言で察した。
「エリザさん…ダメでした…」 数日後… マックで集う学生 4 人。 タイプは違うもののいずれも美形なのに、話題は 『兄さんを落とすには』 という実に残念なものなのが、悲しい。 いや、正確にはそれを悲しいと思っているのはフェリシアーノ一人なのだが...
初っ端そんな一幕があって、フェリシアーノがすでに気力を削り取られているところに、 「フランさんは男の娘だったんですかっ?! オタク魂的に惹かれなくはありませんが、私の最大の推しはアーサーさんですっ! そこは譲れませんっ!だからアーサーさんのお兄さんは返して頂きま...
「 人事は尽くさないですよっ! 」 「 ええ、そうよねっ!人事は尽くさないとよねっ! 」 「 ……兄さん……… 」 もう俺帰っていい?帰っちゃダメ?
アーサー、菊、なんだか話の方向がおかしいよ…… アーサーの兄を狙っていてアーサーから引き離そうとしているはずの人物を見事なフライパンの振りで吹っ飛ばしたのは、自分が幼い頃に一緒にピアノを習っていた綺麗なお姉さんだった… そんな彼女からの思わぬ依頼にさすがのフェリシ...
――よろしくお願いしまっす☆ と言ったのは自分だ…自分なわけだが…殺気立ったエリザが怖い。 逃さないわよ、と、言わんばかりにガシっと腕を掴まれた時には、コミュ力には自信があるフェリシアーノもさすがに悲鳴を上げそうになった。
小学校からの付き合いなのでエリザとはお互いに扱いがぞんざいなところはあったが、能力という意味ではギルベルトは色々な意味で優秀な男だった。 そもそもが小学校の時の児童会長で、この学校に入ってからも中等部のうちはずっと生徒会で副会長を務め、ちょうど高等部進級の時に3年だった会...
エリザは焦っていた。 どこかの変態馬鹿のせいでエリザの大切なローデさんの部活がボロボロになりかけている。 なんとかしなければ…!!! が、そう思っていた矢先のことだった。 神はエリザに味方したらしい。
アーサーの兄は意外に有名人だった。 アーサーの惚れた欲目ではなく、本当のイケメンで性格良し成績良し運動神経良しの完璧な人物らしい。
「ね、アーサーは結局お兄ちゃんとどうなりたくて、どこまでやってみる気があるの?」 兄の同級生に兄を取られたくない…… ブラコンな親友の訴えにそう聞いたのは確かに自分だ。
中学の入学式から帰って来た兄が、 「入学式でな、隣に面白い奴がいたぞ。」 と、話してくれた時点で嫌な予感はしたのだ。
この童顔のせいなのか? そのせいで唯一の相手と見てもらえない? それとも出会った状況が悪かったのだろうか……。 ああ、でもあの出会いはアーサーにとっては大切すぎて否定したくても出来ない記憶だ。
「アーサーさん…大丈夫ですかっ?!」 「ア~サ~、教室のドアは自動じゃないからねっ」 呆れたように言う菊の横で、フェリシアーノが笑いながらアーサーのためにドアを開けてやる。
彼の最愛の弟は 4 歳年下で名前はアーサー。 相性はアルト。 ギルベルトの父とアーサーの母の再婚によって出来た義理の弟である。