アーサー、菊、なんだか話の方向がおかしいよ……
アーサーの兄を狙っていてアーサーから引き離そうとしているはずの人物を見事なフライパンの振りで吹っ飛ばしたのは、自分が幼い頃に一緒にピアノを習っていた綺麗なお姉さんだった…
そんな彼女からの思わぬ依頼にさすがのフェリシアーノも一瞬状況に頭がついていかない。
アーサー、菊、俺、アーサーのお兄ちゃんをたぶらかす悪を退治した勇敢なお姉さんに手を握られてお願いされてます……
呆然としているフェリシアーノに構わず、エリザはギルベルトが度を超えたブラコンであること、弟から引導を渡されないうちに自分から距離を置く事を勧めてみたがそれで再起不能になりかけていること、バスケ部の一同みな主将を頼りにしていて、主将が再起不能だと色々機能しなくなって困っていることなどを切々と訴える。
そこまで聞いてようやくフェリシアーノは我に返った。
「えと…アーサーもブラコンだと思うよ?」
「ホントに?!」
「うん」
うなづくフェリシアーノにエリザの表情が少し明るくなる。
「でも…ずっととは限らないわよね?お年ごろの男の子だし…」
「まあ…でもたぶん大丈夫かと…」
「たぶんじゃダメなのよっ!」
フェリシアーノの言葉にまたエリザの目がすわってきた。
「絶対ににしてもらわないと…。
もうね、試合前とかにギルに不抜けられると絶対に困るのっ。
いっそもう離れられないくらいガッシリと結びついてくれないとっ!」
――弟くん、どこまでやる気あるかしら?!
と、殺気立った目で睨まれて、フェリシアーノは帰りたくなった。
とりあえずフランはアーサーのお兄ちゃんを取る気はなさそう…というか取れなさそうだよ、アーサー……
もういいよね、俺帰っても……
「…それ…アーサーに直接聞く?」
と、エリザの返事を待たずにフェリシアーノはアーサーに電話をかける。
「アーサー?あのね…今どこ?
あとで駅前のマックに来れる?
報告と、あと聞きたい事がある」
アーサーの了承がとれたところで、フェリシアーノはエリザに言った。
「ということで…アーサー、もうちょっとしたらマックで待機するから、エリザさん来る?」
「もちろんっ!ありがと~、フェリちゃん♪」
ぎゅう~~っとエリザに抱きしめられたことは役得だと、それだけはフェリシアーノも思った。
しかしながら…その代わりに今後困った方向にやる気満々になる3人に振り回されることはすでに確定事項である。
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