空のシェイクのカップをトン!!とテーブルに置いた勢いで、フェリシアーノは口を開いた。
「アーサーのお兄ちゃん、この前学校行ったらなんだかめちゃくちゃ評判良かったし、スポーツできるし、主将だし、顔だってカッコいいしっ!
普通の神経持ってたら、そのレベルの男じゃなきゃダメだと思ったら、さすがに身の程知るから、取って変われるなんて思わないしっ!!
少なくとも俺らのクラスじゃアーサーからお兄ちゃんの魅力語られて写真見せられた奴は皆もうちょっかいかけようなんて気失せてるよっ!!」
「そのとおりよっ!!」
帰りたい…その一心で振るうフェリシアーノの熱弁に、エリザは拍手喝采した。
「いい?!ギルっ!
あんた天使ちゃんの事ばっか言うけど、あんただって傍から見れば、背高いし、顔良いし、スポーツ万能。
成績だってトップクラスで生徒会長で、部活だって主将やってるくらいで、すごくスペック高いんだからねっ!
事実別れても別れても彼女になりたいって子が後を絶たないじゃないっ。
そんな男が側にいれば、恐れいっちゃうもんなのよっ!!
いい?!天使ちゃん救えるのはあんただけなのよっ?!!」
いきなりのフェリシアーノの熱弁に驚いて、そこをエリザに畳み掛けられて、しかも最後の言葉が止めになった。
「アルトを救えるのは…俺…だけ?」
「「そう(だ)よっ!!!」」
「そう…だよなっ!!!」
「「うんうんっ!!」」
賢いはずの兄は…しかし、弟の事になるととことん単純で馬鹿な男だった。
こうして兄は勢いに流されて、フェイクの恋人役を了承した。
もちろん…これが終わりではない。
この兄の脳内からいかに“フェイクの”という一言を取って本物になるか…それが今後の大きな課題である。
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