兄弟で恋人…そんな関係を世の中ではなんと呼ぶでしょう?
答え:変態
そう、変態だよなぁ……
その由々しき問題を解決するため、エリザに勧められるままに、弟の恋人のフリをするという事を了承はしたものの、冷静に考えてみれば世間様から見れば、そんな関係の兄弟がなんと思われるか、わからないギルベルトではない。
もう自分は良いのだ。
可愛い可愛い弟が健やかに過ごせるなら、変態と罵られようが、侮蔑の視線を投げつけられようが全く問題はない。
むしろ弟のために虐げられるなら、ご褒美だとすら思える。
だが、ギルベルトが守るべき大切な大切な天使に対してはだめだ。
あの子をそんな目には合わせられない。
だから、そういう関係を望んでいるのは自分だけ。
弟は優しすぎてブラコンの兄をつき離せないだけ。
そういう形を取ってやらねば…そのためには……
自分はブラコンを演じなければならない!!
…と、周りが聞いたら今更すぎてびっくりなことを思いつつ、ギルベルトは帰宅の途についたのだった。
「アルト、ただいま~」
ギルベルトがそう言って家に入ると、
「兄さん、おかえりっ!!」
廊下の向こうからパタパタと軽い足音と共に天使が走り寄ってくる。
ペパーミントグリーンの地にウサギの模様のエプロンを身につけているのがめちゃくちゃ可愛い。
このところ色々な意味で極力避けていたので、こうやって真正面から向き合うのは久々すぎて、眩暈がしそうなくらい可愛い。
思えばこんな可愛い弟に目を向けずに、よく自分は生きて居られたものだ、と、感心する。
思い出すだに辛い日々だった。
だが!!今日からは避ける必要はないっ!!
そう!自分がブラコン全開に生きる事がすなわち、この世界で一番愛らしい天使を守ることに繋がるのだっ!!!
さあ、今日からは幸せなブラコン生活の始まりである。
──ただいま、アルト!!
ギルベルトは実に良い笑顔で最愛の弟を抱きしめると、この数日間我慢していた分も合わせて、自分が行いたい、そして行うべきブラコン的行動について考え始めた。
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