kmt 寮生は姫君がお好き
「お前、そんな無責任ならもう寮長をやめろっ!」 鬼軍曹と恐れられている銀狼寮の寮長錆兎の強い怒りを感じさせる声と言葉にそれまで不自然とも思えるほどの笑顔があふれていた辺り一帯の空気が凍り付いた。
「…おい、村田を知らないか?」 高等部の校舎に戻った錆兎は銀竜の寮長である村田を見なかったか、まずは同学年の自分の教室の自寮生達に尋ねる。 すると寮生達はなんだか意味ありげに顔を見合わせた。
あれだけ警戒していたのにあっけないほど平和な時間が過ぎ、いつものように弁当を手に義勇を迎えに中等部に向かう錆兎。 授業終了が5分ほど長引いてしまったので、お腹を空かせているかもしれないと思えば自然と足も早まっていく。 まあ、いつもはこの時間は義勇を錆兎に任せて、炭治郎はさっさと食...
今日は自寮の姫君が特に可愛い。 もちろん我らが姫君はいついかなる時も世界で一番可愛いが、今日は特別だ。 なにしろ1週間ぶりの登校である。 錆兎が毎日続けている姫君のお手入れにも力が入るというものだ。
ぜひ姫君に献上したい物があるので直接会って話をしたいという茂部太郎の要望で、錆兎は自分の方が彼の部屋に出向く。
寮長錆兎は目に見えて不機嫌だった。 姫君は今ここには居ない。 だからそんな素の感情を表に出せるのだ。 居たら内心機嫌が悪かろうと絶対にそんな素振りを見せる彼ではない。
──射人っ、仁っ、届いたぞっ!! 茂部太郎が通う藤襲学園は二期制なので、前期と後期の間に秋休みと言う少しばかり長い休みがある。
kmt 学園警察S&G
結局…浜田はその後自首をして、全てを自白した。 動機は痴情のもつれ。 浜田は天野に手を出したものの、別の生徒が気になりだして天野に別れを切り出したが、別れるなら関係を学校側にばらすと脅されて殺そうと思ったらしい。 別れ話をいったん撤回して謝って、実は宮川に誘惑されたと嘘をつき、天...
「君たちは一体……」 縛られて床に正座をさせられた状態で呆然とする浜田に、宇髄は 「まあ、話そうぜ、先生」 と、自分のベッドに腰をかけた。
──義勇、話はちょっと後でな。来たようだ… 錆兎の周りの空気が変わる。 いつものことながら錆兎に関してだけは空気が読める義勇はその一言で即黙って錆兎の視線の先を追った。 錆兎はすでにそちらに神経を集中させて動画を撮っている。 こうして犯人が作業を終えるまで1時間。 帰っていくその...
──これから既成事実を作るぞ! ……… ……… ………好きな子からそう言われた時のDKの正しい反応は?
(…義勇、寒くないか?大丈夫か?) (…別に大丈夫だ。) (…こうしてれば暖かいか…?)
(夜中にこっそりなんて、ホント怪しい奴みたいだよね…) (仕方ないだろう。見つからないようにやらなければならないし) (…こんなもんでいいか?) (…ああ、そんなもんか…) (植木鉢…もってきたよ) (よし、それに土少し入れてくれ) (あとは…朝を待って、外出許可取るだけだな…)
「ねえ…なんで俺まで巻き込まれてるのかな?」 カオスな空気とカオスな組合せに食堂中から注がれる視線に耐え切れず、寒いこの季節誰も使っていないテラスに陣取る4人。 そこで寒さにガタガタ震えながら村田が言うと、義勇と自分の隣の視線が鋭くなる。
「でも…義勇になにもなくて本当に良かった…」 と、そのあとホッとしたように漏らした言葉に、宇髄は改めて錆兎を観察した。
「…で?なんで義勇がお前の部屋からあんな状態で出てきたんだ?」 部屋に入るなり眉間に縦皺でそう言う錆兎に、宇髄は隠すことでもないので 「あ~、なんだかお前に見限られたって泣きながら部屋来たから、そのまま話聞いてやってたんだけど?」 と答える。
もう日もだいぶ明けて、そろそろ皆起きる時間になりそうだ。 呆然とドアの前で立ちすくんでいると、早起き組第一弾なのだろうか、少し離れたドアが開く音がする。
あ~やらかした…と頭を抱えてしゃがみこんでも事態は変わらない。 錆兎はしばらくしゃがみこんだままどっぷり落ち込んでいたが、やがて重い腰をあげて、部屋を出た。
「よし。じゃ、そういうことで、何が聞きてえんだ?」 なんでも好き勝手させてくれるようでいて、自分的一線は絶対に譲らない、宇髄はそういう男のようだ。
「……あのな…一緒に転校してきた奴…俺のために転校してきてる」 自分も誰かに言いたかったのだと思う。