kmt ペナルティらぶSBG
こうしてお土産は帰りまでいったん冷蔵庫や冷暗所行きで、3人は呑みに戻る。 ──ということで不死川は土産もあるし今日は遅くなっても帰宅ということで、宇髄は? と、明日も仕事だというのにぐいぐいと酒を飲みながら錆兎が言う。
なんと…錆兎の目的は撃退したやつらの身元をさぐることだったということか…。 てっきり糾弾されると思って戦々恐々としてここまで来た実弥は一気に力が抜けてしまった。
その後、そのまま案内された和室が驚きの広さで、ついつい畳を数えてみたら20畳あった。 さらに驚くことには、大きめのテーブルの上になんだかすごい料理が乗っている。 綺麗に盛られた前菜やヒラメの昆布締め、野菜の炊き合わせ。 おそらく鴨肉であろう燻製や天ぷら。 塩辛に香の物、あと米はな...
──魔王の城っつ~より、奉行所のお白洲 みてえだな… たどり着いたのはお屋敷街の中でもひときわ大きい日本家屋だ。
──あ…ちと電話。 と席を立とうとする宇髄の服の裾をちょいちょいとひっぱり ──ここで良くね?周りもうるせえし。 と言うと、宇髄は座りなおして、電話に出る。
──俺は以前、あいつに冨岡には近づいてくれるなって頼んだんだが… 宇髄の声音が少し変わった。 どこか伺うような…迷うような声。 それが実弥の胸をざわつかせた。 そしてその後に出てきた言葉はまさに最終宣告とも言えるものである。
──あの日、冨岡を追わなかった時点で全部終わってんだよ、諦めろ。 頭に血が上っていて何も考えずに走っていたはずなのに、足は自然と駅に向くのが自分でも不思議である。 とにもかくにも電車に乗ろうと改札をくぐりかけたその瞬間、実弥の腕を掴んだのは宇髄だった。
そこで錆兎が電話をかけた先は宇髄だった。 「今、駅からうちに向かう道の途中の商店街を出て2つ目の曲がり角だ。 不死川に絡まれている。 お前が15分で来なければ警察を呼ぶ」
そうして3人の姿が消えたところで、コロッと穏やかな表情に戻った錆兎は ──もう大丈夫だぞ、義勇。 と後ろを振りむいて言葉をかける。
そうしてしばらく待っていると、錆兎と義勇、そして宇髄の3人が店から出てくる。 幸せそうに笑って錆兎の腕に手をかける義勇。 いつも怯えたような顔しか見たことがなかったのに、まるで別人のようだ。
そうしてキラキラとネオンが点滅する繁華街を突っ切るようにイライラしながら駅に向かおうとした実弥だが、こんな不機嫌全開で帰宅して弟妹に心配をかけたくない。
月曜の就業後…本当なら義勇と二人で歩いていたかもしれない自宅への道のりを、実弥は一人でイラつきながら歩いていた。
想定外のことに実弥の頭は真っ白になった。 なに?なに?なんなんだ?? 鱗滝に告白~?!!! と、パニックになって、しかし嬉しそうな義勇とため息交じりの宇髄を見て、それが事実だとわかった。
──じゃ、とりあえず乾杯っ! と、なぜか部外者に仕切られて、それでも実弥は仕方なくビールのジョッキを抱えて飲み干した。
そんな会話がなされている一方で、その日の不死川… 宇髄の協力を得て、先週の金曜の夜に義勇から自分に告白させるか自分が義勇に告白するかを罰ゲームにした、『嘘から出たまこと作戦』を決行した。
──…ということで経緯の説明は終わったわけだが… と言ったあと、いきなり冷ややかになる錆兎の視線に、宇髄は自分がとんでもないヘマをしたことに気づいた。
(…あ~あ、だから言ったのに…) 昼休み、宇髄がやや暑いため人が少ないテラス席で待っていると、錆兎が来た。 …義勇を連れて。 いや、それは問題ではない。 一緒に飯を食うという話になった時、義勇が総務に借りだされていると告げると、錆兎がじゃあ同じフロアだから自分が迎えに行くと請け負...
頼みの綱の杏寿郎からも状況を聞き出せず、宇髄は途方にくれた。 こうして可能性は限りなく低いはず…とは思うものの落ち着かないでいると、なんと夕方頃に錆兎の方からLineが入った。
──ああ…やられたかぁ…… 金曜の夜に義勇を見失ったあと、放っておいても大丈夫だから飲みを続けようと高を括って主張する不死川に、ここで何かあっても自己責任だからな?とさんざん念押しをしながらも、宇髄はこっそり心当たりにLineで義勇の行方について尋ねまくった。
正直…自分でもずるいなという気はする。 でも日本では古来から棚からぼた餅という言葉もあることだし、まあいいか、と開き直ることにした。