──なんだ、これはっ!!!
鬼の頭領鬼舞辻無惨の居城無限城。
今日も無惨の前にかしずいた童磨の頭が吹っ飛ばされている。
だが無惨の機嫌の悪さはいつもの比ではない。
童磨に言って教団の信者に命じて写してこさせた小説の冊子をバサバサと乱暴に脇息に叩きつけながら怒りに任せて叫んでいた。
無惨自身が命じたために取り寄せただけなのに童磨もとんだ災難だが、元々無惨からは常に冷淡な態度を取られ続けている彼は気にした様子もなく、いつものようにニコニコとその鉄拳を受けている。
しかしその気にしていない感満載の笑顔がまた癪に障るらしく、無惨はさらに苛立ちを募らせた。
事の起こりは無惨が耀哉と錆兎に苦情の手紙を送った頃にさかのぼる。
あの勧告で少しは事態は変わるだろう。
しかし自分の満足の行くくらいに勧告内容が浸透するかはわからない。
まだまだ甘いと感じたらまた苦情の手紙を送らねばならない。
そう思った無惨は定期的に万世極楽教の信者に不死川実弥の書く小説をせっせと回収させるように命じた。
錆兎と違って確認したら戻すなどという事はしない。
そんなものが出回ること自体が許されざることなので、回収後は内容を童磨に検閲させて内容の要約を提出させた後、物置に放り込み続ける。
そんな作業を数日。
いきなり不死川の小説の方向性が変わってきた。
それまではひたすらに自分と義勇の恋物語のような内容だったのに、不死川がある時急に改心して今度は義勇を狙う鬼から義勇を守る錆兎に協力するという方向に…。
もちろんその敵の役は鬼の頭領である無惨である。
不死川が改心したきっかけは耀哉だったり錆兎だったり…他の柱や隊士、なんなら町の人間だったりと様々だが、それからは一貫して自身を協力者として錆兎や鬼殺隊の仲間と一緒に敵である無惨をやり込めるという主旨の内容の小説が量産されて行った。
「おのれっ!雑魚の分際で私の真似をしようというのかっ!!」
と、バンッバンッ!と冊子で脇息を殴りながら怒る無惨。
「ん~。一応は産屋敷側は対応した…というところなんでしょうね。
要望は雑魚に冨岡義勇の所有権を主張させるなということでしたし」
と、また空気を読むどころか煽っているのか?と思われるような発言をする童磨の頭を、無惨はまた怒りのために赤くなった顔で吹っ飛ばす。
──紙と筆を持てっ!!
と、そうしておいて誰にともなく命じると、
──こちらに…。
と、こちらは実に空気を読んで用意周到に美しい和紙の便箋と筆を差し出す鳴女。
無惨はそれを受け取ると、
──ええいっ!何をしているっ!さっさと信者に新作を書かせてそれを置くついでにクズの駄文を片っ端から回収して来いっ!!
と、童磨を怒鳴りつけるとともに、再度耀哉と錆兎に向けて文を書き始めた。
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