諦めが悪い2人の人生やり直しバトル_72_昔々4

話を聞く限り、確かにキラキラしいし、実際、幸せな人生だったのだろう。
異性である女性隊員達が、そんなかっこいい異性の華々しい人生を聞けば楽しいのだろうと思った。

しかしそこでふと思う。

「なあ…」
「ん?」
「やっぱりわかんねえんだけど…」
「何がだ??」
「お前らが幸せな恋人同士だったのはわかんだけど、そうするとやっぱりむかつかねえ?」
「何が??」
「…俺のことが」
「は?」

自分ならそんなに好きだった恋人のことを他の男が恋人だったとかデマを流したら激怒する。
そう言うと錆兎は不思議そうに首をかしげた。

「別に?言うだけは言わせておけば良いと思うが?」
という言葉に嘘はないようである。
本心からそう思っているように見える。

それでも実弥が釈然としない顔をしてみせれば、錆兎はふっと苦笑した。

「えっとな…話は少しそれるが…お前の話だと玄弥はお前の言うところの前世で殺されたんだろう?
で、もしも玄弥が病むほどにその時のことがトラウマになっていたとしたら、お前はそれを思い出させたくないと思わないか?」

突然飛んだ話に混乱しながらも、実弥は
「あ~、そりゃあそうだけどよぉ…それが?」
とうなづきつつ返す。

すると錆兎は少し考えて…そして言った。

「俺と義勇、天元も耀哉様は何度も記憶を持ったまま転生してたんだが、ある時な、義勇だけ転生した時に記憶のないままだったんだ。
驚いて色々考えてみたんだが、理由として思い当たるのはその直前の人生の最後でな、義勇は自死してて…まあ俺もすぐあと追って自死していたんだが、義勇の自死の原因が誘拐されて無体を働かれる前に自死ということだったから、怖かっただろうし辛い選択だっただろうから、それを思い出したくないんだろうと俺は勝手に理解したんだ。
で、義勇が思い出したくないものを思い出させるくらいなら、俺が忘れられている方がよほどいいだろうと結論付けて今に至る」

自分が本来色々な意味で威圧感を与えるという自覚があるのだろう。
それを避けるために常に張り付けている笑みが珍しく消えている。


まあこれを笑顔で言えたらそれはそれで頭がおかしいと実弥も思う程度には重い話ではあるのだろうが…。

しかしそれも一瞬で、錆兎はまた小さく笑みを浮かべて顔をあげた。

「まあ…記憶がある時もない時もあるんだが、今回の人生はない回のようだ。
だからと言って俺は義勇を諦めたわけではないから、前世からの諸々に頼れなかったとしても自分が義勇が好ましいと思うような人物でいて、今生の義勇の感情が自分に向くようになれば良いと思って生きているぞ?」

そう高らかに宣言したあと、錆兎は今度はしっかりと実弥に視線と笑みを向けていう。

「これは俺の持論で強制はできないが…実弥がもしいまだに義勇に想いを寄せているにしろ、他に好きな相手を作るにしても、だ、基本は自分自身がどこまで人を惹きつける人間になれるかだ。
他人を変えるよりも自分を鍛える方が容易で確実だし、好きな相手に好かれたいのならまず、その周りにも好かれるような人間を目指した方が成功率は高いと思う」

確かに…と実弥は思った。

自分がもし周りに嫌われていなければ、少数派ではあっても自分に協力してくれる隊士もいたかもしれない。

まあ…それでも本気を出した錆兎に勝てるとは思わないが、義勇を諦めた時点でそこは問題ではない。

自分がどれだけ周りに好かれるかで、自分にとって大切な人間である玄弥や匡近が健やかに生活できるかにも影響してくるし、それこそいつか本気で恋愛をしたくなった時に、協力者ができるかどうかで成就への難易度が格段に違ってくるのは壮絶に理解した。







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