諦めが悪い2人の人生やり直しバトル_64_実弥、心から改心する

錆兎に助勢を求められた!!
それは実弥にとって快挙だった。

なにしろ相手はお館様に継ぐ鬼殺隊の御旗!
現場では最高位の柱の中でも特に秀でた柱の…ひいては鬼殺隊の手本というべき人間である。

皆が憧れ、皆がその役にたちたいと思っているその人物から、特別にと自分が助けを求められたのだっ。
自分はそんな人物に助勢を求められるくらいのすごい人間なのだ!

そう思うととても気分がいい。

それだけではない。
錆兎に呼び出されて急いで水柱屋敷に来た匡近が錆兎から説明をされて再度実弥を玄弥ごと引き取るということになって、暮らし始めた風柱屋敷。

実弥は基本、匡近同伴でないと任務につけないことが弟に知られると少しばかり気まずいと思っていたのだが、そのあたり、錆兎が
「実弥は匡近の継子、つまり柱の補佐で、俺にとっての真菰のような存在だ」
と説明してくれたので、兄としての体面は保たれている。

まあ玄弥の方は町で色々聞いていて全てを知っているのだが、こちらは実弥と違い、そのあたりは空気を読んで話を合わせるくらいには大人なので、平和に日々が流れていた。

そうして普段は風柱屋敷の家事をしながら玄弥に字や護身術を教えてやる日々。
そんな日常を過ごしていると、今更ながら前世では馬鹿な事をしたものだと猛省した。

今生でも前世と同じく呼吸が使えない玄弥だが、無理に鬼殺隊士になろうとしない。
実弥と一緒に世話になっているのだからと風柱屋敷の雑事を一所懸命こなしている。

そうだ。
あの時は自分が風柱で権限があったのだから、突き放すよりはこうして家の諸々を任せたいと言えば、玄弥は無理に隊士になることも最終決戦で死ぬこともなかったのでは…と思うと胸がずきんずきんと痛まなくはない。

しかしまあ過去は消せないわけなので、今生では失敗しないように…と玄弥の身の安全や幸せを願いながら日々を送っていると、なんとなく義勇のためにと動く錆兎の気持ちが少しわかった気がした。

そうか…そうだよな。
出来れば玄弥には傍に居て欲しい。
でもそれで玄弥が安全に幸せに暮らせるなら、遠く離れても仕方ない。
あんな風に死なせるくらいなら…と前世での玄弥との死に別れを思い出すと実感する。


そうか…これが愛情ってやつなんだな…
不思議なことに玄弥と過ごしていると、義勇の事を考えることがあまりない。
あれは愛情というより執着だったんだな…
と、実弥は今更ながらそう思った。

とりあえずすっきりした。
玄弥が幸せに生きている。
ずっとすぐそばに居てくれるかはわからないが、少なくとも前世のような死に方はしないしさせない。

相手が幸せで居るという事で自分が幸せと思える。
そう自覚した実弥は素直に錆兎に謝罪に行こうと思った。
そして今の気持ちを説明するのだ。

まあ…出来れば迷惑かけついでに、今回だけ、今回だけは少し巷の悪評を払しょくするのに協力してもらえるよう頭をさげよう。

自分が嫌われたり蔑まれたりするのは構わないが、それが玄弥に影響するのは嫌だ。
そのためなら最大限努力をする。

そう心に決めた実弥は、頑張って覚えた文字で、今度は独りよがりと言われる小説ではなく、謝罪と理解したことと依頼したいことをまとめるべく、紙にしたため始めたのだった。









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