秘密のランチな関係
こうして落ちついてランチを食べながら、イギリスはふとまた不安に思い始める。 「…男心は胃袋から掴め…か……」 イギリスも最近はプロイセンのおかげで少し食べられる物を作れるようになったが、1人だと料理上手という域には程遠い。 おそらくこれから頑張ったところで...
「「あっぶなっ!!」」 一気に冷や汗をかいて黙りこむ 2 人。 「お前達の下半身事情などどうでも良い…。 だが私はプロイセンに話がある。 邪魔するなら、捥ぐぞ?」 氷のごとき冷やかな声。 そこは何を?とは口にしないが、想像すると、ひゅん!と...
「ぬかったよ~。 坊ちゃん手が出ず食物兵器量産しなければ、顔だけは可愛いしねぇ… お兄さんプーちゃんが生まれる前から坊ちゃんの面倒はみてきたわけだし? 育てたっていう意味ではプーちゃんだけじゃないよ? ていうか、あれだよね、お兄さん、日本の家のヒカルゲンジ?地で行...
最終的に ── うるせえっ!!もうこいつは俺様が嫁教育をして育てた俺様の嫁なんだから、黙って散れっ!! のプロイセンの一喝で、とりあえず個々に昼食を作りに戻った面々。 そしてそれぞれ昼食を手にバルコニーに出てランチタイムだ。
「「嫁っ?!!!」」 アメリカのみならず、いつのまにか冷やかしに来ていたらしいラテンズも揃って叫んでプロイセンを凝視する。
いきなり始まる料理タイムに、 「すみませんっ!キュウリだと思って買いすぎてしまって…」 と、慌てて自分もエプロンをつける日本だが、プロイセンは 「 OK,OK, 気にすんなよ、ジジイ。 普段食う食事なんて、その時に安いモン大量買いして、ある材料で適当に作る...
普段なら会議最終日に慰労の食事会があってそれで解散なのだが、今回は各国の上司達が何を思ったのか、最終日の翌日から親睦旅行に行けと言いだした。 しかも、より親睦を深めるためと称して自炊。 まあ別にサバイバルをやれというでもなく、電気もガスも通ったトイレ、バス、キッチン付...
「そういえばプロイセン…」 「ん?」 「ちょっと今日の事だけどな……」 と、今日のスペインやフランス達の言っていた事を話して聞かせる。
こうして 2 人して向かった先は、いつも過ごしているプロイセンの別宅。 本宅と違ってここはドイツも滅多に来ないプロイセンのプライベートスペースだ。 ドイツ国内でプロイセンと会う時は、たまに本宅でドイツを交えての時もあるが、たいていここで 2 人で過ごす。
「あ~、もう、お前可愛いなぁ!!なんだよ、それっ!!!」 笑いながらもグリグリとまた頭を乱暴に撫で回される。 「ふざけてんなっ!」 その体温にほだされそうになって、イギリスはハッと我に帰ると、グイ~っとプロイセンを両手で押しのける。
1 人になりたくなったイギリスは、ふらり…と、その場を離れて空いた控室の一つへと駆け込んだ。 それでなくとも会議終了後で皆帰りかけているので、この時間からわざわざ控室を使う国体もなく、 1 人きりになってホッとする。
「プーちゃんの例の弁当の彼女、誰かわかったでっ!」 それは会議後、いつものメンバーで集まっての雑談中の言葉だった。 ドヤ顔で言うスペインは別にイギリスの方を見てはいない。 つまり…イギリス以外の誰かだと思っているという事だ。
そして結果的に…この秘密は随分と面白い状況を生み出した。 周り…特にラテンズが面白い。
イギリスをホテルに送って行って次の日の朝。 実は最近日本の“キャラ弁”に凝っているプロイセンはそれに必要な各種材料を日本から送ってもらっていた。 それを駆使して早朝からイギリスのためのランチの制作を開始する。
正直、プロイセンも今の状況を楽しんでいる。 あの初めてイギリスが泣いているのを見た日、自宅に連れて帰って一緒に食材の下準備をしたあと、一緒に作った食事を摂りながらイギリスの話を聞いてやった。
「今日のコンポート、あれ良いアイディアだな。 保冷剤にもなるデザートなんて、さすがイギリスだな。 最初は俺の子どもになりてえとか言ってたけど、他の家事は万端だし料理も美味くなってきたし、今はむしろ子どもより嫁にでもなれそうだな。」
最初は昼時に悪友達の誘いを断ったプロイセンが、控室で本人が作ったにしてはありえない可愛らしい弁当を食べていたのを目撃したイタリア兄弟から、プロイセンが彼女の手作りの弁当を食べている…と広まったのがきっかけだった。
そうして2カ月後… 今回のイギリスで開かれている世界会議… 主催国イギリスにはちょっとした楽しみがある。 それは……
イギリスが…あのイギリスが、子どものように真剣な様子でフォークをサクサク豚バラブロックに突き刺している。
プロイセンの家につくと一旦荷物を置き、プロイセンはキッチンに。 程よく筋肉のついたスラっとした長身にシンプルな黒いエプロンをつけ、いかにも手慣れてますと言った感じでテキパキと茶の準備をする。