アメリカのみならず、いつのまにか冷やかしに来ていたらしいラテンズも揃って叫んでプロイセンを凝視する。
あ、そうだ。ミートソース食べきらねえよな、おい、イギリスっ!!」
「今作ってる。残ったらパイの具にするんだろ」
と、そんなオブザーバー達もスルーして手元の鍋を見つつプロイセンが振り返ると、その先には小麦粉を練り練りするイギリスの姿。
そこでその場にいる全員、なんとイギリスがまともに料理をしているらしい事に初めて気づくが、普通なら大騒ぎのその現象よりも、皆の興味はプロイセンの嫁発言にむけられた。
「「「「プロイセンっ、嫁ってっ?!!」」」」
音声多重の悲鳴が響く。
が、それも完全スルーで、プロイセンは
「おおっ、言う前に作ってたか。気が利くな。さすが俺様の嫁」
という言葉と共にフライパンを置くとイギリスに駆け寄って、その頭を引き寄せるとつむじにチュッと口付けを落とした。
目を見開いて凝視するのが数名と悲鳴を上げるのが数名。
「お~ま~え~は~~!!!一体何してくれてるんだっ?!!!!」
真っ赤な顔で叫ぶイギリスと、
「嫁っ?!まさかイギリスじゃないよねっ?!!うそっ!!!」
と叫ぶ数名。
そして、ケセセっと笑うプロイセン。
「バラしても良いって言ったのお前だろうがっ」
「そんなことっ……言ったけどっ…言ったけどっ、だけどいきなりこれはっ!!!!」
「別に口にしてるわけじゃねえし…」
「ひと前で口にとか論外だっ!!ばかあっ!!!」
「バラすって何っ?!彼女はいないけど、彼氏はいるってことっ?!!!」
阿鼻叫喚。
「なんで?!なんで坊ちゃんなのっ?!!
坊ちゃんも坊ちゃんだよねっ?!
お前いつからこんな料理するようになっちゃったのよっ!!!」
「うっせえ!その顔に生えた汚らしいカビ全部毟るぞっ!!」
「ちょ、やめてよっ!お兄さんのこれはおしゃれ髭なんだなからっ!!」
「親分、まだイギリスと正式に離婚してへんやん?!」
「結婚した覚えもねえっ!!」
「イギリスっ!なんでプロイセンなんだいっ?!
君、俺の事大好きじゃないかっ!!」
「おう、安心しろ。
俺のお前に対する愛情はプロイセンの嫁になっても尽きることなんてないぞ。
親の子に対する愛情は一生モンだ。
育て子に対する愛情は別物だ」
「くたばれっ!!!」
絶叫、罵り、諸々に包まれる室内。
さらに、本来はラテンズと同じく冷やかし組だったのだろう。
いつのまにか来ていたハンガリーはすごい勢いでスマホをいじっていて、しばらくすると血相を変えてかけこんできた台湾と熱く何かを語り合り始める。
とそんな中、唯一そのカオスに入りきれなかったドイツとイタリアは…
「これは…このまま煮てればいいのか?」
「うん。そうだと思う。
ズッキーニとトマトかぁ…夏野菜美味しそうだねぇ」
あとで余った野菜もらってこ~…と呟きながら、プロイセンが放置したフライパンを火にかけてことこと煮つめ始めたのだった。
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