正直、最初イギリスが泣いているのを見て、色々予定が狂うな…と、もう習慣づいている他人の世話ではあるものの若干困ったなと思ってそれでも放っておけなくて誘ったわけだが、普段は気真面目だが淡々と大人びた様子ですましているイギリスのこんな可愛らしい様子を見られただけで、誘った甲斐はあったなと、プロイセンは思った。
なまじプライドが高く強がりなだけで、色々な意味で助けの手を差し伸べる対象や娯楽から除外されてしまっている現状は随分とつらかったのだろうと、今、子どものように嬉しそうにフォークを握っているイギリスを見て思う。
仲間に入れてもらえなかったと一人で泣き、うまく出来たと褒めてやると嬉しそうにはにかんだ笑みを浮かべる様子は本当にいとけない子どものようだ。
これからは少し気をつけてフォローしてやらねえとな…と、プロイセンは【貧乏人のキャビア】に使った残りのセロリの葉を刻みながら、そんな事を思った。
「お~、綺麗に混ざったな。
今日は他で使った残りがあるから、あとはこいつも一緒に混ぜるぞ。」
イギリスがちょうど3つの肉を袋の中でスパイスをまぶし終わった頃、プロイセンはボールに入れた刻んだセロリの葉を次々肉の入ったビニールに入れていく。
それを二人で袋の上からまたワシャワシャ揉み込んだ。
「これ…これからさっきの肉みたいに鍋で燻すのか?」
楽しい気分でそう聞くと、プロイセンはん~と少し考えこむ。
「肉はだいたい2~5日くらいそのまま冷蔵庫で寝かせるんだ。
今は寒い季節だから…まあ3,4日後だな、燻すの」
「…そう…なのか……」
目に見えてショボンとするイギリスが可愛くてプロイセンは小さく吹き出した。
「燻す時は教えてやっから、またうち来て一緒に燻すか?
せっかく初めて作ったんだから最後までやりてえよな?」
そう言ってやると、イギリスの顔がぱぁあ~っと輝く。
「いいのかっ?」
「おうっ。お前が3,4日休み取れんなら、うちに泊まっていっても構わねえけど…」
「大丈夫だっ!普段から部下には休め休めって言われてるからっ!」
そうキラキラした目で勢い込んで言うイギリスの思わぬ様子に、プロイセンはまたよしよしと頭を撫でてやった。
マジこいつ可愛くね?
と思いつつ、でも当分他はそれに気づかないといいな…などと思ったのは秘密だ。
Before <<< >>> Next
0 件のコメント :
コメントを投稿