秘密のランチな関係後編_7

いきなり始まる料理タイムに、

「すみませんっ!キュウリだと思って買いすぎてしまって…」
と、慌てて自分もエプロンをつける日本だが、プロイセンは

OK,OK,気にすんなよ、ジジイ。
普段食う食事なんて、その時に安いモン大量買いして、ある材料で適当に作るのが普通だろ」

といいながら、他の食材は~…と、食材の入った箱と冷蔵庫を覗いて、玉ねぎとひき肉、トマト缶をピックアップした。

そして
「お~い、イギリス、これ頼むわ」
と、その中で玉ねぎをポイポイとよりにもよってイギリスに投げてよこすプロイセンに、当たり前にそれを受け取ってみじん切り始めるイギリス。

イギリスに食材が渡るのだけは絶対に阻止しようと思っていた日本だが、止める間もなかった。
渡ってしまった物を取りあげるのも角がたつ…と、しかたなしにハラハラとプロイセンとイギリス、両者を見守る日本。

しかしそこでふと気付く。

「なんでアレだけでみじん切りなんです?」

そう、プロイセンはみじん切りしろと指示してはいない。
しかし受け取ったイギリスは全く迷うことなくみじん切りをしている。

そのことに不思議そうに首をかしげる日本に、イギリスは

「あー…なんとなく?」
と、笑って随分と手慣れた様子で大量のみじん切りを作り続けた。


こうして大量に玉ねぎのみじん切りが出来上がった頃、プロイセンはプロイセンでズッキーニを大量にみじん切りにしている。

そうしてフライパンに油をしいてそれらとひき肉を豪快に炒め始めた。


「今日の昼のパスタはミートソースな。
ジジイが用意してたタラスパのソースはサラダにすっぞ。
ジジイとアメリカ、ジャガイモ剥いて切ってゆでてつぶせ。
それにソース絡めろ」

プロイセンの見事なフライパンさばきにほぉぉ~っと感心していた日本とアメリカは慌ててジャガイモに手を伸ばした。


そしてジャガイモの皮をむきながら、アメリカが

「料理できるんだ?
なんかそこらの物みて当たり前に作れてるみたいだけど…慣れてるのかい?
てか、ミートソースって自分で作れるんだね」

と物珍しげにプロイセンの手元を覗き込む。


それに対してプロイセンは淡々と

「日々の料理は分量や材料なんかはだいたい適当だぞ。
ミートソースならな、家庭で少量ならたまねぎ1をみじん切りして炒め、何でもいいからひき肉200gくらいを追加して炒めて、トマト缶ぶち込む。コンソメ×2をそこに放り込んで好みで大匙1くらいの砂糖。
それで煮詰めればそれっぽいのが出来る。
炒める時チューブでも良いからにんにくとか入れると香りが良くなって食欲そそるぞ。
今日はそれにズッキーニをみじん切ったのを入れて玉ねぎと一緒に炒めたけど。
余ってる野菜があったらとりあえずみじん切って一緒に炒めておけ。
俺らは大抵は嫁さんよりは体力あるだろうし、将来、同等くらいの仕事で共働きするなら体力ある俺らがメシくらいは作らねえとな」

と、両手で持っていた大きなフライパンを片手で持つと、自分より大きなアメリカの頭をクシャクシャと撫で回した。

イギリスにそれをやられると怒るアメリカも、プロイセンだと特に反応なし。

ただ、
「君ってなんだか父親みたいだよね…」
と、感想を述べた。

「イクメンて奴ですね」
と、それに頷く日本。

「プロイセンて…怖いだけじゃなくて料理上手いんだね」
と、心底感心したように言うアメリカに、日本とイギリスは小さく吹きだす。

一般的には昔は油断のならない軍国、最近は面倒見が良く面白いお兄ちゃんだが、アメリカにとっては未だに散々しごかれた鬼教官な印象が強いらしい。

そんなアメリカに、プロイセンはほかに対するのと全く変わらない調子で

「特別に上手いわけじゃねえけどな」
と笑う。

そして…その直後、そのままの笑顔で当たり前の口調で爆弾を落とした。

「料理を嫁に教えたのは良いけど、今じゃ嫁の方が上手いし」




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