秘密のランチな関係後編_11

「「あっぶなっ!!」」
一気に冷や汗をかいて黙りこむ2人。


「お前達の下半身事情などどうでも良い…。
だが私はプロイセンに話がある。
邪魔するなら、捥ぐぞ?」

氷のごとき冷やかな声。

そこは何を?とは口にしないが、想像すると、ひゅん!と下半身のナニが縮こまる。

「うん…お兄さん、あっちでご飯にしようかな…」
「親分もロマが待っとるさかい、そろそろ行くわ」

と、プロイセンがあれだけ言っても付きまとってきた2人が一瞬で離れて行った。



「…どんな手を使ったんだ?」

悪友2人が去ったあと、それを気にする事もなく、その場に立ったままベラルーシはそう言ってプロイセンを見下ろした。
相変わらず唐突な少女である。

その突然の質問に、
「へ?」
と、さすがに意味を取りかねてポカンとするプロイセンの前のテーブルに、ベラルーシは3本目のナイフを突き刺した。

「とぼけるなっ!!
本に男心は胃袋から掴めと書いてあったから、わざわざ貴様ら全員に毒見をさせて、万全を期して兄さんに食べてもらった私がダメで、何故お前は好きな奴を手に入れられるんだっ?!!」

「あ~…そういう意味……」

「お前っ!何故こいつなんだっ?!」

ベラルーシは質問の意味をかみ砕いているプロイセンから突然イギリスに向き直った。


え?ええ???

今度はイギリスが驚く番だ。


「どうしてって……」

以前のプロイセンとベラルーシの弁当のやりとりは、たった今ベラルーシの口から意とはせずプロイセンの言った通りだと証明された。

それは良い。
では…何故プロイセンなのか?という質問は??

それは…プロイセン以外にしろという事なのか?
イギリスにはもったいないから自分が…とか、なのか?

ズキン…と、また以前感じたような胸の痛みが戻って来た。

確かに貧相な男の国体である自分よりも、性格は多少変わっているが目の前の美少女の方がプロイセンと並んでも映えるだろう。

そう思ってしまえば、また目の奥が熱くなってきた。
じわり…と溢れかける涙。

「イ~ギ~リ~ス~~!!
お前、またややこしい事考えてんな?
違うからな?!
ベラルーシは別に俺様のことなんかなんとも思ってねえからっ!!」

と、そこで気づいたプロイセンが慌ててイギリスを抱き寄せて、腕の中に閉じ込めた。
そして、彼にしては久々にキツイ口調で言う。

「ベラルーシ、お前な…俺様までならとにかく俺様の大事な恋人巻き込んだら、さすがの俺様もキレっぞっ!!」

その昨今のプロイセンにすると珍しく険のある言い方にビクリと身をすくめたのは、どうやらイギリスだけで、ベラルーシは淡々としたものだ。

「だっておかしいだろう?
こいつもあんなに素敵な素晴らしい男性である兄さんを知っているのに、何をまかり間違ってお前ごときを選ぼうとか思ったんだ?
やっぱり胃袋なんだろう?
お前ごときでも兄さんを差し置いて恋人を作れるんだ。
そのレシピを私にも教えろ。
隠しだてするとタメにならないぞ」

へ??
言っている事が意味不明すぎて、驚きのあまり涙も引っ込んだ。

そして…おそるおそる胸元から少し顔を離してプロイセンを見あげると、
(…な、ベラルーシはこういう奴だ。ロシア以外は男じゃねえから)
と、プロイセンが小声でそう言って小さく笑う。


結局、ベラルーシは何も答えを得ずに引く相手ではない。

なので、イギリスを自宅に招いて付き合う前から付き合った後、今までプロイセンが作った料理のレシピを一通り渡してやると、何事もなかったように去っていった。

嵐のような少女である。


そしてようやく誤解も全てとけて、念願の2人きり。
2人は一緒に作ったランチを堪能した。




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