祝初温泉旅館3
こうして大浴場に場所を移す4人。
「日本人てすごくシャイなくせに他人と入浴するとか平気なのが不思議よね」
と、日本人でもないのに脱衣室でためらいなく裸になるフランソワーズ。
そのまま浴場に特攻しそうな彼女に強引に湯浴み着を着せて、自分も着用するエリザ。
一部以外は裸見たっていきなり発情される事ないだろうし」
と、同じ脱衣場のロッカーを壁にして男女に分かれて着替えながら、ぽいぽいと脱ぎ捨てるアーサーの分の服も几帳面にたたみながら答えるギルベルト。
一方のアーサーは湯浴み着を手に、
「これ…女性用じゃね?良いけど」
と、下半身だけの男性用と違って上半身も隠すそれを抵抗もなく身につけて首をかしげる。
「あ~それね。
アーサー君は構わないと思うんだけど、ギルは自分以外に見せたくないだろうからっていうお姉さんの気づかいの結果だと思って?」
と、返ってくるフランソワーズの言葉。
一応彼女なりに今回はギルベルトの機嫌は損ねまいとは思っているらしいのが見て取れて、小さく吹きだすアーサーとエリザ。
「…お前…変な方向性の気づかいはするんだな…」
と、その言葉自体は否定はしないものの、先にもっと気づかう場所はあるだろうよ…とも思う複雑な表情で答えるギルベルト。
それでも4人揃って着替えが終わり風呂場に場所を移動する。
湯浴み着を着ているので、洗うのは各自部屋風呂でということで、駆け湯をして、とりあえず露天風呂へ。
「きっもちいいな~」
と、嬉しそうに手足を伸ばすアーサー。
袖のない湯浴み着から見える項から肩にかけての華奢さは同じ性別を持つものとは思えないほどの細さで、本来真っ白なそれが薄く桃色に染まっている様子は、その甘露をさんざん味わってきた目からみると、どこか艶めかしく感じる。
ごくり…と喉がなるのを意識して、ギルベルトはそこから目をそらせるように女2人の方へと視線をむけた。
そこでは
「フランソワーズ、胸でか~。もんだら気持ち良さそう」
と言いつつ湯浴み着越しとは言え、どうどうと手を伸ばして他人の胸を揉むエリザの姿。
確かにでかい。
水に浮くレベルででかい。
普通にメロンくらいありそうだ。
だが今ここには男が2人いるわけで…そんな中でそれを口にするか?と思っていたが、当のフランソワーズはそれを咎めるでもなく、当たり前に
「ん~、でもエリザの胸も挟める程度には大きいし、形もすごく綺麗よ。
肌もきめ細かくてうらやましいわ」
と、エリザの言葉に輪をかけてアレな言葉を返してきて、ギルベルトを絶句させる。
そんな中、頼みの綱のもう一人の同性はと言うと、そんな女達の会話に全く動じることなく、それどころか、
「やっぱ極東のレディより欧州のレディは巨乳多いな」
と、天気の話でもするようなノリで普通に返していて、もうギルベルトは泣くしかない。
しかしそこでそんなギルベルトをそっとしておくという思いやりは、エリザにはないらしい。
「あんた何1人で赤くなってんのよ。童貞でもあるまいし」
と、容赦なく巻き込んできた。
やめろ!俺様を巻き込むな!!と声を大にして言いたいのだが、ギルベルトが言葉が出ずにパクパクと口を開閉していると、
「え?童貞じゃないわよね?」
と、さらに突っ込み。
そこで
「ああ、違う。以前はわからねえけど、少なくとも今は童貞ではないな」
と、代わりに答えるアーサーのそれは、思いやりなんだろうか?それとも…??
どちらにしてもそこで女2人の関心はアーサーへ。
「「それkwsk!!」」
と、ギラギラした目で詰め寄られても、その手の事は本当に平気らしい。
「あ~、だって同じ部屋で同じベッドで眠ってたら溜まった時に1人で処理する方が嫌じゃね?」
と、ケロリとした表情でのたまわる。
「男はさ、生理的に溜まるからアレなんだけどな、レディ達もそういう感じ?
実はエリザとフランソワーズって同室だとちょっと溜まったな~とかでやったりするのか?」
と逆襲されて、2人は顔を見合わせて、それから揃って、ないない、と、手を横に振って苦笑した。
普通ならセクハラで訴えられそうな勢いの会話だが、始めたのは向こうだし、なによりアーサーがあまりにあどけない表情で言うので、邪まな感じが全くしない。
きょとんと小首をかしげて大きな丸い目で見あげられると、むしろ子どもに「あかちゃんてどうやって出来るの?」と聞かれているような、気まずささえ感じてくる。
そのためか、あのイケイケな2人がそろってその話題を終了。
少しの沈黙が落ちたところで、アーサーが改めて
「今度はルートやフェリ、桜、梅も一緒に来たいなぁ…」
と新しい話題を提供する。
すげえ!童顔すげえなっ!!!
と、ギルベルトは感心した。
あどけない風貌は世界を制するのかもしれない。
おそらくフェリシアーノでも同じかわし方が出来る気がする。
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