秘密のランチな関係後編_10

「ぬかったよ~。
坊ちゃん手が出ず食物兵器量産しなければ、顔だけは可愛いしねぇ…
お兄さんプーちゃんが生まれる前から坊ちゃんの面倒はみてきたわけだし?
育てたっていう意味ではプーちゃんだけじゃないよ?
ていうか、あれだよね、お兄さん、日本の家のヒカルゲンジ?地で行ってるよね。
ぼっちゃん小さい頃にはうちで育ってるし?
むしろなるならお兄さんのお嫁さんになるっていうのが正しい図じゃない?
ウブッ!!」

そんな事を言いつつ身を乗り出すフランスの頭を掴んで、ガン!!とそのままテーブルに押し付けたスペイン。

「ちったい子言うたら親分やん?
イングラテラはこぉ~んなちっちゃい頃に親分とこに嫁に来た親分のお嫁ちゃんやで?」

と親指と人差し指で、こぉ~んなという顔はとても良い笑顔だ。

いやいや、イギリスは親指姫とかじゃねえぞ?
そんなに小さいわけねえだろ!
と、プロイセンが、

結婚したのは上司達で俺はお前と結婚した覚えなんかねえ!
と、イギリスがそれぞれ突っ込みをいれるのに、

「せやから、例え話やんっ!
そんなんやからプーちゃんはあかんねん。
四角四面の男にちっちゃい子任せたりできひんわっ!
あと、上司同士結婚言う事は、国同士結婚したも同然やで?イングラテラ」

と、口を尖らせる。

「前提条件がおかしい。
俺はちっちゃい子じゃねえっ!
目を覚ませ、ペド野郎っ!!」

と、主張するイギリスを制して、プロイセンは後ろを振り返って叫んだ。

「坊ちゃんっ!!お前の旦那、スペインを迎えに来てやってくれっ!!」
と、振った先はオーストリア。

「はあ?嫌ですよ。
そもそも何故スペインが私の夫なんですか」

と、手にしたカトラリをいったんおいて、ゆっくりとナプキンで口を拭いたあとに、おっとりと答えるオーストリア。

「スペインいわく、上司同士結婚してたら国体も結婚したも同然らしいぞ?」

「…バカバカしい。
そういう事だとしても、上司は亡くなり同盟はとっくに解消されているので、もう離婚してます。
だから強いてその意見に合わせるとしても、“”夫ですね」
と、にべもない。

「…だそうだぞ?
イギリスとの間なんてオーストリアとの解消なんて生易しいくらいの三行半つきつけられてたよな?お前。
そもそも…そういう意味で言うなら、最新の妻はそこの髭だろ?」

行儀悪くテーブルについたひじに顎を乗せながら、プロイセンがそうやってニヤニヤと親指でテーブルにめり込んだままのフランスを指さすと、スペインは

「え~!!やめたって~!!!」
と、思い切り嫌そうに顔をしかめる。

「プーちゃん…もしそうだとしたら…逆…」
「へ??」

一応起きてはいたらしい。
むくりと起きあがるフランスに、プロイセンはすっとんきょうな声をあげて首をかしげる。

「逆って…何が?」
「お兄さんとスペインなら、当然お兄さんが上でしょ。
立場的にもうちの方が強かったし?」
「え~?!!やめたってっ!!!
ほんま、それ洒落にならん。キモいわ」
「あら、お兄さん愛の国だし?普通に上手よ?」
「それ以前の問題や。
親分絶対に上がええし、上になったとしても自分相手じゃ勃たへんわ」

と、いきなりそんな口論を始める2人。

だが、その2人の頭に上からストン…と何かが降って来た。
そこは普段ふざけていても、激動の欧州で生き残って来た古参の国だけあって、2人とも反射的に避ける。
すると、それ…短剣は綺麗に木のテーブルに突き刺さった。




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