祝初温泉旅館2
「風呂行きましょ~~!!!」
バン!!と開くドアの向こうには満面の笑みを浮かべたフランソワーズ。
移動中の反省は移動が終わった時点で終了したらしい。
エリザを伴って着替えを持って立っている。
…と、ギルベルトが叫ぼうとするも、その前にアーサーが当たり前に
「あ~もう行くのか。
でもここの風呂って混浴なのか?」
と、驚いた様子もなく聞くことに驚いた。
その言葉にフランソワーズはにこやかに説明する。
「あ~、せっかくアーサー君が温泉初めてなら、お姉さんもエリザも初めてだし、みんなで初めて温泉特攻もいいね~ってことで、最初は家族風呂を予約したんだけど、その時にフロントさんがね、今お姉さん達以外にお客がいないし、お風呂も一緒に入って良いって。
オフシーズンなのもあるけど、ついこの前極東支部が潰れたから危ないしって旅行者が減ってるんですって」
「なるほど。そういうことなら行くか~」
と、いそいそと着替えを用意し始めるアーサーに、ギルベルトは唖然とする。
え?え?ええ??
おかしいのか?俺様の感性がおかしいのか??
別に今のご時世で男女7歳にして席を同じうせずとは言わねえよ?
でもな?恋人同士とかでもない成人した男女が普通に一緒に風呂ってなくないか??
ぽか~んと固まるギルベルトに
「ぽち?お前は入らないのか?」
と言ってアーサーがまあるい目で見あげてくる。
不思議そうな目で……そう、不思議そうな目でだ。
何故俺様の方が不思議そうな目をされるんだ?
おかしいのはお前らのほうだろ!!と、ギルベルトは主張したい。
断固として主張したい。
そして主張した!!
「男と女が一緒に風呂とかありえねえだろっ!!」
と、ギルベルト的には本当に極々普通の主張をしたわけなのだが、女2人はぷ~~!!と吹きだして、アーサーはやはり不思議そうな目で
「なんで?」
と聞き返してきた。
「え?なんでって聞くか?なんでって!!
タマ、お前、桜と一緒に風呂はいったりできんのか?!!」
そう、この恥じらいという言葉を母親の腹の中に置いてきたのだろう2人と違って、桜はそんな女じゃないっ!!そう信じて訊ねたわけなのだが、アーサーはあっさりと言い放つ。
「…はいってたけど?」
「はあぁぁ??!!!!」
「普通に桜と一緒に風呂入ってたぞ?」
「はあああぁぁぁ??!!!!!」
顎が外れるかと思った。
そんな勢いで盛大に驚いた。
「だって…俺ら子どもの頃から親いないし?
育ててくれたのブレインのお姉さん達だったから、2人まとめて風呂にいれてくれてたぞ?
ある程度大きくなってからは別々に入る事もあったけど、今でもこういう機会があったら一緒に入ると思う」
…あーうん…なるほど、なるほどな…と思う。
そういう環境で育ったなら、まあわかる。
わかるけどな、こいつらはそうじゃねえ…と、どう説明したものかと悩んでいると、
「そこでラッキー!で付いてこないのが、やっぱギルよねぇ」
と、フランソワーズはけらけら笑い、エリザはあまりにからかいすぎて移動中のようにギルが本気で怒って参戦拒否されると被害をこうむるのは自分だと思ってか、珍しく空気を読んで
「大丈夫。湯浴み着を旅館の方で用意してくれてるから。
ここは男性用も用意してあるんだって」
と、緩めの水着のようなものを投げて寄越した。
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