秘密のランチな関係前編_11

そして結果的に…この秘密は随分と面白い状況を生み出した。

周り…特にラテンズが面白い。

イタリア兄弟はとにかくとして、他はさんざん恋愛面では相手のいないぼっちとからかい続けてきた悪友達。
そんな連中はプロイセンの可愛い弁当=彼女が作った弁当と思い込んでいて、からかい続けてきたプロイセンが相手ということもあり、あまり面白くないらしい。
そしてそれを隠しもせず、興味津々色々聞いてくる。

最初はイギリスのことは秘密ということもあって、普通に知人が…と答えていたのだが、あまりに必死に、ただの知人じゃなくて彼女だろ?どんな相手なんだ?と尋ねてくる。

だから嘘にならないように“彼女”という言葉は避けつつも、あえて意味ありげに“特別な”もしくは“大切な”知人という言い方をしてやると、頭を抱えて大騒ぎをするので、その後は面白いからギリギリのラインでわざと誤解を煽るような言い方をして観察している。

そうやってイギリスである、男である、その2点を除いて考えてみると、可愛らしい顔、頭は良くて掃除や裁縫も完璧、最近は料理上手にもなってきた…と、なかなか理想の彼女、理想の嫁っぽぃ事にプロイセンも気づく。

そんな相手が自分にだけ懐き、自分にだけ甘えて見せるのだ。
気分が良くないわけはない。

最初はからかい半分に悪友達に与えていた情報も、最近では自分でも惚気のようになってきたと思う。

そんな気持ちがつい出てしまったのか、先日イギリスの料理を褒める際に、子どもって言うより嫁みたいだな、と、つい漏らしてしまって、引かれるかと一瞬まずったと思ったが、気味悪がる事もなく好意的に冗談と取ってくれたらしく、普通に和んだ様子で

「そんな事言ったら本気で嫁に来るぞ?」
などと嬉しい返答を寄越してくれて、思わず頬が緩んで思い切りだらしない顔になりそうだったので、内心慌てつつもこちらも冗談ぽく

「おう、いいぜ?もらってやるからいつでも来いよ」
とさらに返したのだが、実は半分本気だったというのにはさすがのイギリスも気づいてはいないだろう。


ああ、認めよう。
ミイラ取りがしっかりミイラになってしまった。
プロイセンはイギリスに恋をしている。


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