大航海
ギルベルト_船出まで 1章 2章 3章 4章 5章 6章 7章 アーサー船出からギルベルト達との出会い 8章 9章 10章 11章 12章 13章 14章 15章 16章 17章 18章 19章 あーちゃん...
こうして協力体制をとることになって早々に、ギルベルトはそのメリットを享受することになる。 それはナガルプルの情報だ。
とりあえずお姫さんはアフリカでも商人や職人たちとのやりとりもしてきたので、おかしなことにはならないだろうし、物理的な危険もアントーニョがすぐそばについていて、自分もこの距離なら即フォローにはいれるから大丈夫だろう。 そう判断してギルベルトはいったんウッディーンとの話に集中すること...
リスクは高い。だがメリットも大きい。 相手が信頼のおけない奴ならお姫さんの顔を晒すということは、お姫さんを前回以上の危険に晒すことになる。 が、ここでそれをはずさせれば、相手に対する信頼の証にもなるし、相手が本当に信頼できる人間なら、お姫さんの顔を認知しておいても...
ウッディーンは思いがけず若い男だった。 案内されて足を運んだ屋敷の部屋で 3 人の美女を侍らせてソファに座っている。 その姿にギルベルトはすでに表情を厳しくして眉を寄せた。
「とりあえず宣伝用のアクセサリ揃えないとですね~」 と、ごきげんなお姫さんに、ギルベルトはため息をつく。
近づいてきたのは本当にボートと言っても差し支えないほどの小さな船で、それには漕ぎての二人ともう1人ターバンを巻いた男が乗っていた。 そこで縄梯子を下ろせば、ターバンの男1人が甲板まで上がってくる。
モガディシオでの金の産出量も質も落ち着いて、それを使ったアクセサリの生産の準備も整ったところで、ギルベルト達はアフリカを北上して、アラブ圏を目指すことにした。
──モガディシオに投資をしましょう! と、言うお姫さんの提案で、その街にはかなりの額を投資した結果、少し時間はかかったが素晴らしく質の良い金が仕入れられるようになった。
── 大丈夫!髪なんてすぐ伸びます。 お姫さんが甲板の上、風に吹かれてサラサラと髪をなびかせながら笑う。 潮風が心地いいですね、と、とても楽しげに …
ぽつり…ぽつり…と、雨が降る。 … 何故 …… ? 不思議に思って重いまぶたを開けると、目の前に飛び込んできた光景にびっくりしすぎて、一気に目が覚めた。 「 … ギルベルト … さん?」 おそるおそる伸ばした手はギルベルトの両手に包まれる。 「...
「…おひめさん……髪…が……」 寝台に横たわるギルベルトの大切な姫君は、着衣の乱れは特になさそうだったが、背中まで伸びていた髪が肩にかろうじて付くくらいまでバッサリと切られている。 何故 … ? 絶対に危害は加えられないと思っていたのだが、その惨状を見てギルベ...
「教えたら…いくらかもらえるのかっ?!」 と、それでも下衆はどこまでも下衆らしい。 だが、本当に知っていて速やかにお姫さんを救出できるとしたら、惜しいものなどなにもない。
それでも…絶対という保証はない。 いくらエスピノサが手つかずのままで売り飛ばす気があっても、拉致して連れて行かれる途中で乱暴されないなんて保証はない。
「ふざけるなぁっ!!!」 全身から血の気が引いた。 体が恐怖で震える。
男は要らない … 無頼の輩が言う言葉の意味は、いくら世間知らずのアーサーだって分かる。
久々の下船。 暑い日差し、それに人々の活気が眩しい。 アーサーはフランシスとはぐれないようにその腕に手をかけ、物珍しげに市を見て歩いた。
こうしてしばらくほぼ軟禁生活だったわけだが、それが終わったのはつい最近。 海戦でもシェア争いでも勝利を続け、ついにエスピノサ商会を破産に追い込んでの、ソファラ入り。
「これでだいたい揃ったかなぁ。 今日のお茶は期待しててね」 アフリカのソファラの市場でのこと。 たっぷりのフルーツとナッツ類を腕にいっぱい抱えてフランシスが言う。
──はぁぁあ~~!!ねっ!絶対っ!!絶対に嬢ちゃんは幸せにしてあげようねっ!! 毎度おなじみ、すっかり日課になった あ~ちゃん会議 in ギルベルトの執務室 前日のアントーニョに引き続いて、今日はフランが涙しながら訴える。