kmt リトルキャッスルsbg
そんな会話をしながら錆兎が弾くワルツの最後の一節が終わると、拓郎は拍手をして電話を指差した。 そして言う。
そして流れる哀愁に満ちた優美な音楽。 とりあえず拓郎が犯行を認めた時点で錆兎の気がかりは一点だけだ。 もちろんそれは、 これは彼女が望んだ結末だったのか…? ということ。
「錆兎、どうした?何かあったのか?」 炭治郎はすぐ来た。 すぐ後ろには善逸もいる。
「ねえ…我妻」 一方でダイニングに集まってお茶を飲みつつ待っている留守番組。
錆兎が下に降りて行くと全員が不安げな顔で田端が閉じ込められているワイン蔵があるキッチンの方へと視線を向けている。
そして木村と田端の部屋。 田端は鍵を開けて入ると、 「どこでも探してみやがれ!」 と、少し体をずらして他をうながした。
「空手部3人…念のためそのあたり見回れ。変わったものあったら教えろ」 義勇達が行った後、錆兎は遺体の側に膝をついて言うが、 「じょ、冗談じゃねぇ!!犯人いたらどうすんだよっ!!!」 と、3人とも固まって叫ぶ。
それぞれ食後、自室に戻って支度をすると玄関に集合。そのまま跳ね橋を通って外に出る。 錆兎と義勇とぴったりくっついて歩く女4人。 空手部3人はそれを面白くなさそうにたまにチラ見をしながらも、錆兎には3人がかりでも勝てないのは昨日実証済みなので、しかたなしにちゃっちゃと歩を進める。
朝…本当に何も起こらず平穏に夜は明けたらしい。 錆兎はいつもの習慣で5時には目を覚ます。 何があっても即守れるようにとかかえこんだ恋人様はまだ腕の中ですやすやと寝息をたてている。
──うあああぁああ~~!!!!! ちょうど義勇から背を向けて窓の方を向いて立っていた善逸が悲鳴をあげた。 義勇もそれにつられるように窓に視線を向ける。 すると、窓の外でぼんやりと白っぽい大きな塊が何もないはずの中空を漂って行ったのが視界に映った。 ──…ゆう…れ…い……? 義勇は...
そんな話をしているうちに皿洗いが終わったらしい。 「ふ~、皿洗いなんて久々にしたよ~」 同じく皿洗いを終えてダイニングに顔を出す善逸と炭治郎と女性陣。
そして食事。 また絡んでくるかと思いきや、今度は木村と田端が何故か険悪状態らしい。 お互い顔を合わせようともせず、柿本と湯沢が顔を見合わせている。
「これ千切りお願い」 と差し出されたキャベツをぶつ切りにする利香。 由衣はジャガイモの皮というよりジャガイモを剥いている。
全部で8部屋ほどのペンションなので、大浴場といってもとてつもなく広いわけではない。 善逸は実は掃除は嫌いじゃないので鼻歌を歌いながらデッキブラシで浴室のタイルをみがきあげる。
「会長様達の部屋訪ねてみたんだけど…なんでいないの?」 一方で女性陣ご一行は当たり前に善逸達の部屋に押し掛け中だ。 それに対し善逸と炭治郎は顔を見合わせる。
「義勇、怖い思いをさせてしまったか? もしそうならごめんな?」 客室に落ち着いて錆兎が荷物を運び入れたり備え付けのお茶を入れている間、義勇がベッドに座って考え込んでいると、彼はいつものように横に腰掛けて義勇を抱きしめ、こめかみに口づけを落としながら謝ってくる。
「さあ着いたよ」 雑談をしつつ陸地を離れて約2時間。やがてクルーザーが船着き場に止まる。 そこは半径2kmくらいの小さな島で、船着き場から少し奥まった所に直系100mくらいの湖。 その中央にそれはそれは可愛らしいミニチュアの城のような建物が建っていた。 各部屋のバルコニーも可愛け...
そうして全員が乗り込んで船が動き出すと、重い空気を破るかの様に 「とりあえず…自己紹介しよっか」 と、真由がにこやかに切り出した。
「こんにちは」 にこやかに挨拶をしてくる男性。 「こっちが拓郎伯父さん。今回泊まらせてもらうペンションの持ち主よ。 場所は離島だからここからは伯父さんの船で向かうから」 真由の言葉に無言で少し頭を下げる男4人。 「ども、お世話になります」 と善逸も頭を下げ、それに続いて女性3名も...
──俺…おかしくないか? 善逸に頼まれて同級生の女子を柄の悪い空手部の面々から護衛するために行く孤島のペンション旅行。 錆兎と一緒の旅行。