リトルキャッスル殺人事件G
アーサーの弾くワルツの最後の一節が終わると、ジョンは拍手をして電話を指差した。 そして言う。 「濃霧というのは嘘だ。まだ電話をしてないから警察を呼んでくれ」 その言葉にギルベルトが立ち上がると電話を手に取り、警察に連絡した。
そして流れる哀愁に満ちた優美な音楽。 とりあえずジョンが犯行を認めた時点でギルベルトの気がかりは一点だけだ。 もちろんそれは、 これは彼女が望んだ結末だったのか … ? ということ。 幸いにしてジョンもシンディも全てを受け入れているように見...
「兄さん、どうした?何かあったのか?」 ルートはすぐ来た。 すぐ後ろにはフェリシアーノもいる。 厳しい顔のギルにあまり良い話ではないのだろうと硬い表情のルートとフェリシアーノ。
「ねえ…フェリ」 一方でダイニングに集まってお茶を飲みつつ待っている留守番組。
ギルベルトが下に降りて行くと全員が不安げな顔でダニーが閉じ込められているワイン蔵があるキッチンの方へと視線を向けている。
そしてマイクとダニーの部屋。 ダニーは鍵を開けて入ると、 「どこでも探してみやがれ!」 と、少し体をずらして他をうながした。
「空手部 3 人…念のためそのあたり見回れ。変わったものあったら教えろ」 アーサー達が行った後、ギルベルトは遺体の側に膝をついて言うが、 「じょ、冗談じゃねぇ!!犯人いたらどうすんだよっ!!!」 と、 3 人とも固まって叫ぶ。
それぞれ食後、自室に戻って支度をすると玄関に集合。そのまま跳ね橋を通って外に出る。 ギルベルトとアーサーとぴったりくっついて歩く女 4 人。 空手部 3 人はそれを面白くなさそうにたまにチラ見をしながらも、アーサー 1 人にすら 3 人がかりでも勝てないのは昨日実...
朝…本当に何も起こらず平穏に夜は明けたらしい。 ギルベルトはいつもの習慣で 5 時には目を覚ます。 何があっても即守れるようにとかかえこんだ恋人様はまだ腕の中ですやすやと寝息をたてている。
──うあああぁああ~~!!!!! ちょうどアーサーから背を向けて窓の方を向いて立っていたフェリシアーノが悲鳴をあげた。 アーサーもそれにつられるように窓に視線を向ける。 すると、窓の外でぼんやりと白っぽい大きな塊が何もないはずの中空を漂って行ったのが視界に...
そんな話をしているうちに皿洗いが終わったらしい。 「ふ~、皿洗いなんて久々にしたよ~」 同じく皿洗いを終えてダイニングに顔を出すフェリシアーノとルートと女性陣。 そこでギルベルト達と同じく洗い物を出さないように紙コップにコーヒーを注いで、しばらく小学校時代の...
そして食事。 また絡んでくるかと思いきや、今度はマイクとダニーが何故か険悪状態らしい。 お互い顔を合わせようともせず、リックとユージンが顔を見合わせている。
「これ千切りお願い」 と差し出されたキャベツをぶつ切りにするジェニー。 アンはジャガイモの皮というよりジャガイモを向いている。 「伯父さんが獲って来たんだけど…魚おろせないよね?」 もう否定形で聞くシンディに、もちろんうなづくソフィ。
全部で8部屋ほどのペンションなので、大浴場といってもとてつもなく広いわけではない。 フェリシアーノは実は掃除は嫌いじゃないので鼻歌を歌いながらデッキブラシで浴室のタイルをみがきあげる。
「殿下の部屋訪ねてみたんだけど…なんでいないの?」 一方で女性陣ご一行は当たり前にフェリシアーノの部屋に押し掛け中だ。 それに対しフェリシアーノとルートは顔を見合わせる。
「お姫さん、やっぱりどこか痛くしたか? それとも怖かったか? 防犯ベルで即飛んでこれる距離だったから大丈夫だと思ったんだけど、怖い思いさせてごめんな?」
「さあ着いたよ」 雑談をしつつ陸地を離れて 2 時間。やがてクルーザーが船着き場に止まる。 そこは半径 2km くらいの小さな島で、船着き場から少し奥まった所に直系 100m くらいの湖。 その中央にそれはそれは可愛らしいミニチュアの城のような建物が建っていた。 ...
「みんな~!こっち~!!!」 フェリシアーノが大きく手を振ると、 3 人が軽く手を振り返してくる。 「ちょっ!フェリっ!!あの銀髪のイケメン何っ?!!」 ジェニーがフェリシアーノの襟首をつかんで叫んだ。
「俺…おかしくないか?」 当日…待ち合わせ場所の埠頭に行く道々、アーサーは心細げに少し身なりを整えた。 フェリの小学校時代の友人達との旅行。 ずっと一緒では緊張するからと、とりあえず行きは先に友人と合流するフェリとは別に埠頭まではギルとルートと3人。 ...
『わ~!本当に了承とってくれたんだっ!さすがキアーラ姉さんっ!!』 コール音2回で電話に出たジェニーの第一声がこれだ。 ああ、もう自分は周りの女性陣に振り回されすぎている … と、フェリシアーノは肩を落とした。