『わ~!本当に了承とってくれたんだっ!さすがキアーラ姉さんっ!!』
コール音2回で電話に出たジェニーの第一声がこれだ。
ああ、もう自分は周りの女性陣に振り回されすぎている…と、フェリシアーノは肩を落とした。
もう本当に何度も言うが、女の子は可愛くて大好きだが、そんな怖い女性陣に囲まれて育っていることもあって、近づきたくはない。
見ているだけで良いと、心の底から思う。
『で?お祖父ちゃまのお気に入りの親友?も来てくれるんでしょ?』
と、続く言葉に、一瞬、親友じゃなくて恋人、と、訂正をしたくなったが、このノリの女子高生に同性の恋人として紹介するとルートが気まずいかも知れない…と、フェリシアーノにしては珍しく空気を読んで、そこは触れないことにしておいた。
そして逆に聞く。
「そのことなんだけど…誘うにしてもさ、状況や条件がわかんないと誘いようがないよ?
だからちゃんと話聞かせてくれる?」
と、自分がキアーラに聞いた事を話した上で訪ねると、ジェニーはさらに補足。
『宿泊料は1日1人1000円。
ペンション以外は何もない無人島なんだけどね。
ちなみに~、女の子組は全員フェリも知ってるメンツだよ。
ペンションの主の姪はシンディだから。
あとはアンとソフィね。懐かしいでしょ?』
「へ?なんだ、そのあたりのメンバーなんだ」
『そそ。男連中は高校からだから面識ないけど、女の子は全員B組メンバー』
そう、小学校は3クラスだったのだが、1年から6年まで一緒のクラスだった仲良し4人組の女子達が、いまだ仲良くしているらしいことに、フェリシアーノは驚いた。
まあ、同じ小学校から中学、そして地元の公立高校へと進めば、そういうこともあるかもしれないが。
フェリシアーノも4人組とはずっとクラスが一緒で、どちらかと言うと男子よりも女子といることが多かった事もあって、もしあのまま伯父が亡くならずに引っ越して中学を私立にいかなければ、もしかしたら彼女達といまだにつるんでいる可能性も多々あるなと思った。
『まあね、男連中はアレだけど、ペンションはめっちゃ可愛いよ~。
島の中にある湖の真ん中に浮かんでる小さなお城みたいな建物。
フェリ、そういう可愛いの好きだったよね』
と、言われれば確かに。
「うん。まあB組メンバーのことならね、しょうがないかな…。
ルートは俺が頼めば絶対に来てくれるし協力してくれるけど、そのペンションてさ、あと2人泊まれる余裕ある?」
可愛いペンション、可愛い物好きという言葉でフェリシアーノはもう1人の親友の存在を思い出す。
そして…その親友の凄まじく強力なセコムの存在も……
『うん。大勢いればいるだけ抑止になると思うから、人数が増えるのは大歓迎だよっ!』
「そっか。じゃ、俺とルートの他にあと2人追加しておいて」
「おっけ~!ありがと、フェリっ!!』
と、そこでジェニーとの通話は終了。
そして
──…というわけなんだけど…
と、まあ…あとはお決まりのようにルートに電話をかけた。
もちろんルートは同行を了承してくれる。
ここまでは想定の範囲内。
あとは……
「あのね、俺アーサーも誘いたいんだぁ」
と、交渉だ。
なにしろ楽しむはずだった別荘地も温泉も殺人事件に巻き込まれてワタワタしているうちに終わってしまった。
恋人とも楽しみたいが、可愛い宿なら可愛い物好き仲間の親友とも楽しみを共有したい。
ついでにその親友の恋人はルートの実兄で、いつも遊びに行く時は4人一緒なのだ。
それを主張してみるが、
『う~む…。いつもと違って今回は最初から何か起きる可能性が高い旅行だからな。
そんな危険な旅行に兄さんがアルトの同行を許す気はしないのだが……』
と、これには何色を示す。
だが、それも想定の範囲内。
「うん、だからね。アーサーの方から連絡しようと思って。
たぶん…アーサーからギルに連絡が行って、ギルからルートに何か言ってくるかもだけど、流しちゃってね」
ルートは兄には弱いものの、その兄であるギルはアーサーにめちゃくちゃ弱い。
だから流す方向を間違えなければ大丈夫!とにこやかに宣言するフェリに、ルートは電話の向こうでただため息を付いた。
もちろん、実際にアーサーの了承を取ってからは、当然ギルがそれを抑えられるはずもなく、ギルの同行も決定。
こうしていつもの4人組で、不穏な空気満載の旅行へと出発することになった。
Before <<< >>> Next (6月20日公開予定)
0 件のコメント :
コメントを投稿