kmt 狙われやすい少年について
──実は姉さんが厄介なことに首をつっこんでいまして…… 大学の中庭のベンチの下、ペットボトルの紅茶を両手で持ちながらそういうしのぶは可愛い。 幼馴染の欲目を抜いても、一般人の域を軽く超えた可愛らしさだ。
「錆兎兄さん、今週末、お時間頂けないですか?」 渡辺錆兎は20歳の大学2年生だ。 日本でも有数の名門私立、産屋敷学院大学に通っている。
kmt 狙われやすい少年について 目次
1_プロローグ 2_しのぶの依頼
kmt ペナルティらぶアナザーSBG
台風の去ったあとのような気分だった。
──俺ァそこまでやれって言ってねえぞっ!!告白だけで良いんだァっ!! いきなり怒鳴る実弥に宇髄は天を仰いでため息をつく。 相手によっては喧嘩だな、こりゃあ…と思いながらも、その相手は錆兎だ。 同じレベルで喧嘩なんてしてやるはずもない。 ということでコソコソと片付けが面倒なものを実...
──あ~…始まったなぁ、こりゃ… と、本題に入る気配を察知して、宇髄はこぼれると片付けが大変そうなものをそっと実弥から遠ざけ始める。
それからも実弥は彼にしてはずいぶんと我慢をした。 まず即確認したいところを飲食物の準備ができるまで我慢した。
この1週間、すごく長かった! 先週の金曜日に宇髄に呼び出してもらった錆兎に罰ゲームとして義勇に告白させる事に成功して、あとは罰ゲームだと知って傷ついた義勇を慰めてそのまま交際に持ち込む手筈だった。
──久しいな、不死川っ! ドアを開けて中に促すと、錆兎はまずキッチンに荷物を置いたうえで、リビングの実弥にそう声をかけた。
──そろそろ着く。目の前のコインパーキング止めるから料理運ぶの手伝ってくれ。 上機嫌で飲み食いを始めている実弥をもう他人事のように眺めながらあらかじめ出しておいた割れても構わない食器をテーブルに出していると、スマホが振動して錆兎から連絡が入った。
ペナルティらぶアナザーSBG
当日…プレッシャーに耐え切れずに午後は半休を取って帰宅した。 自分がこんなにメンタルが弱いとは思ってもみなかった。 だが考えてみれば、十数年も友人と自分で思っているのは3人きりだったのだ。 その構図が変わると思えば、さすがに宇髄でも緊張くらいはする。
金曜の決戦日を迎える前々日の水曜の終業時、宇髄はスマホを取り出してアドレス帳を覗く。 そして、前回の飲み会ではつまみを作る食材をたくさん買い込んでおいたのだが、今回はどうする?と錆兎にお伺いを立てた。
──来週の金曜日にお前ん家集合な。それまでは二人とも静観してろ。 それは日曜の午後に錆兎から来たメッセージだ。 金曜の夜中に帰ったから、土曜の朝までには計画を練って午前中には動くだろうと思っていたら案の定である。
そこからの錆兎はちょっと変わっていた。 ──これ…確認して変えたいところがあれば言ってくれ。 と出されたのは表紙を含めて3枚ほどの計画表。 最初のページをめくってみると、これから半年ほどのスケジュールが見やすくまとめられている。 そう、まるで仕事のように。 あえて義勇が仕事で見て...
宇髄から錆兎が知りたがっていたので連絡先を教えていいかと聞かれて二つ返事でOKした時にはこんなことになるとは思ってもみなかった。 OKしてほんの10分後には初めて錆兎から連絡が来て、突然で申し訳ないのだが電話で話すようなことではない話がしたいので会えないかと言われて、自宅を教えた...
──俺だ。 とワンコールで出る親友に、ひゅっと緊張から息をのむ。 その宇髄の反応に錆兎は電話の向こうで淡々と 『今のお前は冷静じゃなさそうだから、適切な説明ができない気がする。 先に俺が話すから間違っている部分は指摘して、質問には端的に答えろ』 と言う。
それからの流れは最悪だった。 明らかにわざと負ける錆兎。 賢い上に勘も度胸も良い男なので、本当にあからさまにわざとなのだが、それに気づかず大喜びする実弥。
錆兎が居る時はいつも料理は錆兎に頼むことにしている。 宇髄も料理ができなくはないが、幼い頃から普通に食事を作っていて、現在、料理が趣味と言う錆兎に比べると手際も出来も敵わない。 無駄なプライドよりも食材の味を最大限引き出した旨い飯、旨いつまみが大切である。
義勇と一緒に飯を食うなり呑むなりの席を設けろ…というのがこれまでよくある依頼だったのだが、今回は違った。 今、電話で実弥が依頼してきたのは、誰か第三者を呼んで、ゲームをけしかけて、義勇に告白させろというものである。
胃が痛い。 会社に行きたくない…。 これまでは学校も仕事も…それだけじゃない、自分で行くと決めたものに関して、面倒だなと思うことはあっても行きたくないと悩んだことはない。