諦めが悪い2人の人生やり直しバトル_42_しのぶれど

さてこの頑なな認識をどう正せばいいんだと実弥が悩んでいると、義勇はさらにとんでもない話をし始める。

「俺と錆兎は平安時代からずっと恋仲だったんだっ!
もう10回以上は転生をしていて、その間ずっとだし、10歳で梅の花観賞の宴の席で出会った時に錆兎はからかう大人達から俺をかばってくれて、俺の前に立って俺を守ってくれるって約束したんだっ!
お前ごときがそんな俺から錆兎を奪えると思うなっ!」

え??
…と、驚いたのは実弥だけじゃない。
錆兎も目を丸くしている。
どうやら錆兎に関しては別に実弥の気持ちを知っていながら出し抜いていたとかではなさそうだ。

その証拠に
「義勇、それどこ情報だ?」
などと聞いている。

それに義勇は隠す様子もなく
「宇髄!宇髄はずっと友達として俺達を見ていたって言ってたっ!」
と何故かドヤ顔だ。

「…あ~…宇髄かぁ……」
と、それに錆兎がガシガシと頭を掻いて言う。

「えっと…宇髄さんからその話が出て、友人周りを集めて講演会みたいなのを開いて広めちゃったんだけど…まずかった?」
とそこで真菰が初めて少し心配そうな顔で言うのに、錆兎は小さく首を横に振って
「いや?
単に最近なんだかよく女性隊士達に意味ありげにみられてたからなるほど…と。
せいぜい『しのぶれど…』という程度の事かと思ってたから。
そんな細かい設定まで広まっているとは知らなかったから驚いただけだ」
と苦笑まじりに言った。

なんだか話が急展開過ぎて理解が追い付いて行かない。
だがとりあえずは気になって、
「宇髄の言う事って…本当のことなのかよォ?」
と錆兎に聞くと、錆兎は少し考えて
「さあ?でもお前が人生を巻き戻っているということが本当だとしたら、宇髄が転生し続けているというのも頭から疑う理由はないだろう?
どちらも俺自身の事ではないから、本当とも嘘とも言えないな」
と言うので、どうやら錆兎自身は事実として推し進める気もないように思える。

そこで
「宇髄が面白がってついた嘘ってことかもしれねえよなァ?」
と、そう広めてくれないかという期待を込めて言ったが、錆兎から返ってきたのは
「お前の言う事が嘘かもしれないというのと同じくらいの可能性だな。
どちらも本人以外にそれはわからんだろう?」
と実に彼らしい公平な言葉で、ため息をつくしかない。

「もし…それが本当のことだったら?」
とさらに突っ込んで聞くと、錆兎は苦笑。

「義勇が望んでいるのだとしたら、約束もしたことだし守らねばならんな」
などと他人事のように言うので、あるいは彼の方はそういう気もないのかという希望を込めて
「冨岡に他に好きな奴が出来たとしたら?」
と聞くと、
「義勇の望む通りに…」
と、これも同じ言葉を返して来る。

「お前自身は?」
とさらにさらに問い詰めると、錆兎はまた苦笑。
「俺は世界で一番義勇が大切だからな」
と言うので、わからなくなる。

「大切だったらてめえのモンにしてえって思うもんじゃね?」
それは実弥にしたら当たり前すぎるくらい当たり前のことだったのだが、彼は違ったらしい。

「本当に大切な相手なら世界で一番幸せで居て欲しいと願うものだと俺は思う。
だからどうしても自分と居て欲しいと思うなら、相手に変われというのではなく、自分自身が相手に選ばれるよう努力をするべきだろう」

「…努力したってダメな時もあんだろう?」
そう、まるで今の自分のように…と、それは口にださなかったが錆兎にはわかっているのだろう。

「相手のために自分の我を捨てて最善を尽くしていないうちに、努力を口にするべきではないと思うぞ?
相手がどういうものが好きでどうすれば喜んで…逆にどういうものが嫌いでどういう事を嫌がるのか…
それを常に考えて相手に接していると断言できるのか?
そこまでやってダメなら…まあ縁がなかったのだと諦めつつ、しかし良い関係は築けるだろうから、もし相手が何かで困った事が起きたら頼ってきてくれたらいいなと思って何か有事の時には動けるように身軽な状態で過ごすのが良いと思う」
と、もうお前は惚れた相手には仏か?聖人か?と思うような事を言われて、実弥は言葉を失くした。

正直、自分が幸せになるために惚れた相手と一緒になりたいのだ。
なのに相手が自分のものにならない時点でそれは自分にとって幸せではないし、受け入れられない。

そんな風に悩んでいると、錆兎はそこに追い打ちをかけるように
「とにかく義勇は俺を含めてみんなそんな風に接する中で生きて来たんだ。
だから真菰が自分を優先してしまうお前では無理だと判断したのはある意味正しい。
それでもお前がどうしてもということなら、まず本気の努力を見せてくれ。
お前が義勇の歓心を買うために努力に努力を重ねて、義勇が心の底からお前と居たいと願う日がくれば、真菰も反対はしないと思う」
と、もうそれ自分には無理だ…と思うような条件を言葉にして話を締めた。








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