諦めが悪い2人の人生やり直しバトル_50_破門

──破門だっ

錆兎の怒りをなんとか緩和させようと尽力してくれた真菰に何度も何度もお礼を言って水柱屋敷を辞した匡近は、風柱屋敷に帰ると今回の処遇に納得していないようでムスッとしている実弥にそう告げた。

「はあぁ??小説書いただけだろぉ?!
都合の悪いモン見られたくなくて勝手に回収とか職権乱用の挙句それかよっ」
と、破門を告げられてもなお不満を口にする実弥。

「つまり…あれだろォ?俺が書いた小説が広まったら、俺に協力する奴が増えるから他の目に止まんないようにしたって事だろォ!俺は悪くねえっ!」
とさらにいう実弥に匡近は大きくため息をつく。

そして告げた。

「錆兎さんは別にお前に何もすることはないと言った。
謝罪も除隊も切腹も求めないそうだ」
「じゃ、それでいいだろォ。何が問題なんだよっ!
つか、あいつだって卑怯な真似してるって自覚があんだろうよっ!」
ガシガシと頭を掻きながら口を尖らせる実弥に匡近はため息をついた。

「錆兎さんはお前には謝罪も何も求めない。だが今後何があっても関わらないと言った」
「おう!望むところだぜェ!
ってことはもう色々制限なしに自由に行動して良いってことだよなァ」

自分が謝罪が必要なことをしているということ、そしてその謝罪が出来ないということは謝罪をして受け入れられないよりもさらに状況が悪くなるということがわからない実弥に匡近は頭が痛くなってきた。

まだ錆兎が謝罪を受けてくれればそれを拒否しようと実弥のやったことに対して非難する権利は当事者の義勇の責任者である錆兎にあると周りは見る。

だがその錆兎が関わらないとなれば、彼が人気者なだけに激怒するような事をして何も罪を問われていない実弥に代わりに罰を与えようとする人間が殺到するだろう。

錆兎がそこまで意識して突き放したのか、あるいはただ心の底から嫌悪して関わりたくないと思っただけなのかは正直匡近にはわからない。

だが実弥の兄弟子として、関わりを絶たない唯一の味方としてずっとそばにいた匡近は、それでなくても態度の悪い実弥に向けられる嫌悪や憎悪は散々見て来たのだ。
それが最終的に抑えられていたのは、ひとえに鬼殺隊一と言えるほどに良い方向に影響力がある水柱の錆兎が後見人のように控えていたからだ。

同じ柱とは言ってもまだ新米柱の匡近ではかばいきれない。
むしろ庇うことで何も贖罪を負っていないのに庇われるなんて…と、返って周りから責められることになる。

そうなると匡近が出来ることはただ一つしかない。
自分が実弥に大きな罰を与えることで、それを実弥の贖罪として見てもらうということである。

実弥からすると匡近にまで見捨てられたという気持ちになるかもしれない。
でもそうやって実弥が唯一の相手に切られたというくらいのことがないと、おそらく納得してくれない周りに実弥が潰されてしまうだろう。

「誰か実在の人物に対して無理やりことに及ぶという物を書いただけでなく、それを公に広めるというのは、書かれた相手に対してとても失礼な行為だ。
義勇君は錆兎さんの保護下にいるから万が一はないとは思うが、普通の隊士ならそれを目にしてそう言う対象という目で見られて模倣しようとする人間から害を与えられる可能性だって出てくる。
お前が納得しようとしまいと、お前がしたことはそういう最低で許されざるものだ。
義勇君や錆兎さんが望もうと望むまいと何も刑罰を与えられなかったとなれば周りが納得はしまい。
だから軽すぎるかもしれないが俺がお前を破門するということでその責任を負うという形を取る。
だがお前は俺が同行するという事で任務に就くことを許されている身分だから、とりあえず俺はこれからお館様に御目通りを願って、俺は破門ということで保護は出来ないので他に迷惑をかけないように単独任務のみ就かせてやって欲しいと願い出てくる。
これが保護と管理を申し出た俺の最後のケジメだ」

自分が拾って助けたからには絶対に最後まで面倒をみてやろうと思っていた。
それがあの日自分が目の前で助けられずに鬼に殺された弟への贖罪のようにも思っていたのだが、匡近は胸が張り裂けそうな気持でそれを伝えたのだが、実弥には伝わらなかったようだ。

「匡近、てめえだってしょせん自分がやばくなったら俺を切って終わらせようとしてんだろォっ。
いいぜっ!出て行ってやらあっ!」
と怒鳴るとおそらく屋敷を出る身支度をするのだろう、自室へと駆け込んでいった。







0 件のコメント :

コメントを投稿