リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_22

追記… 4月…めでたく高校3年に進学したユートには…人生初の”舎弟”ができたらしい…。 廊下で空手部の人間とすれ違うたび 「押忍!」 とササっと道をあけられ90度お辞儀をされ…周りに奇異の目で見られる日々だ。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_21

「ユート…今回はごめん。嫌な思いさせたよね」 送ってもらっている警察の船の中で由衣がユートに声をかけた。 「おや…てっきりいびられるかと思ってたけど…」 ユートにとっては率直な感想だったのだが、それは由衣には痛烈な批判に聞こえたらしい。 普段は気の強い由衣が泣いた。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_20

コウの弾くワルツの最後の一節が終わると、拓郎は拍手をして電話を指差す。 「濃霧というのは嘘だ。まだ電話をしてないから警察を呼んでくれ。」 その言葉にコウは立ち上がると電話を手に取り、警察に連絡した。 2時間後につけると言う話で、それを周りに報告してまたコウはピアノに向かう。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_19

「真由…ごめんな。 コウがさっき2Fに俺呼び出してこの話をするって言った時、俺止めなかった。 コウは仲間は何をおいても優先してくれる奴だから…俺がどうしても絶対にやめてくれって真剣に頼んだらやめてくれたかもしれないけど…俺止めなかったんだ」 その物悲しい音色が響くなか、ユー...

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_18

「どうしたんだい?碓井君も近藤君も。」 そんな二人に拓郎を始めとして残った一同が少し不安げな顔を向ける。 「重大な…報告があります。」 苦い物を飲み込むようにコウがつばを飲み込んで、口を開いた。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_17

「コウ、どうした?何かあったん?」 ユートはすぐ来た。 すぐ後ろにはアオイもいる。 ああ、ユートに縁を切られるということは…アオイにもか。 コウは軽く目をつむった。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_16

「おかえり、どうだった?」 コウ達が戻ると拓郎が少し笑みを浮かべる。 「はい。とりあえず遺体周りは怪しい奴がいないか調べてシートをしっかりかけなおしてきました。 で、あとは田端の部屋の状態確認後、誰も入れない様に鍵かけて、念のため空き室も怪しい奴いないか確認後鍵かけておきた...

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_15

こうして宿の裏側、遺体発見現場を目指す二人。 「俺ら…疑われてます?」 先に立って歩くコウに湯沢が声をかけた。 それに対してコウは 「いや」 と首を横に振った。 「実は…一番犯人の可能性が低いと思ったのが湯沢と柿本で…湯沢の方が率直なとこ話してくれそうだったから連れ...

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_14

そして木村と田端の部屋。 田端は鍵を開けて入ると、 「どこでも探してみやがれ!」 と、少し体をずらして他をうながした。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_13

「で?警察はどのくらいでつきますか?」 戻るなりまず聞くコウに、拓郎は少し厳しい顔で言う。 「実は…沖の方が今濃霧らしくて…海もあれてるし、明日くらいになるらしい。」 その言葉にざわめく一同。 そんな中でコウとユートだけが内心 (あ~、またこのパターンかっ) などと思...

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_12

「空手部3人…念のためそのあたり見回れ。変わったものあったら教えろ」 コウは遺体の側に膝をついて言うが、 「じょ、冗談じゃねぇ!!犯人いたらどうすんだよっ!!!」 と、3人とも固まって叫ぶ。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_11

それぞれ食後、自室に戻って支度をすると玄関に集合。そのまま跳ね橋を通って外に出る。 コウとユートとぴったりくっついて歩く女4人。 空手部3人はそれを面白くなさそうにたまにチラ見をしながらも、3人がかりでも勝てないのは昨日実証済みなので、しかたなしにちゃっちゃと歩を進める。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_10

「そろそろ皆降りてきそうだな。俺も手伝ってくる」 空気が微妙に変わった事でコウもピアノを閉じるとキッチンへ向かい、料理を運ぶのを手伝う。 しかし…いったいなんだったんだろう…。 不思議に思いつつも降りて来た面々と挨拶をかわす。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_9

朝…本当に何も起こらず平穏に夜は明けたらしい。 コウはいつもの習慣で5時には目を覚まし、部屋でもできる腕立てや腹筋などにいそしんだあと、シャワーをあびた。 いつもならランニングもするところだが、跳ね橋があがっていて外にでられないので、どうも時間があまる。 しかたなしにバルコ...

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_8

「ふ~、皿洗いなんて久々にしたよ~」 同じく皿洗いを終えて部屋に戻った由衣とアオイ。 しばらく小学校時代のユートの話など聞いていたが、ふいにアオイはハっとして 「あ…」 と、声をあげた。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_7

「もしもし、姫。家庭教師どうだった?大丈夫か?」 もちろんコウの電話相手は最愛の彼女。 『大丈夫って何がです?』 きょとんとするフロウにコウはため息。 「いや…自殺あった塾の講師って…」 『やだぁ…別に先生が殺したわけじゃないですもん。』 「でも受験ノイローゼとかなん...

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_6

「由衣…お前マジ、アオイに変な事吹き込むなよ…」 その後すぐユートとコウの部屋を訪ねる由衣とアオイ。 二人を中に招きいれると、ユートはそう言って由衣を軽くにらんだ。 「あははっ、例えばユートが毎回古文赤点で追試組なこととか?」 「お前は~!!」 その場で逃げ回る由衣を追...

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_5

ユートと分かれてアオイが客室に入ると、もうそこには由衣が先に来ていた。 「あ、どうも…」 なんと言っていいかわからず曖昧な笑みを浮かべてアオイは部屋に入ると、ドアを閉める。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_4

「さあ着いたよ」 雑談をしつつ陸地を離れて2時間。やがてクルーザーが船着き場に止まる。 そこは半径2kmくらいの小さな島で、船着き場から少し奥まった所に直系100mくらいの湖。 その中央にそれはそれは可愛らしいミニチュアの城のような建物がある。

リトルキャッスル殺人事件_オリジナル_3

「コウ~!アオイ!こっち~!!」 ユートが大きく手を振ると、コウが軽く手を振り返してくる。 「ちょっ!ユート、あのイケメン何っ?!!」 由衣がユートの襟首をつかんで叫んだ。 「うっそっ!彼?!彼なの?!ユートの友達って!!」 利香も歓声をあげる。 「ホント、芸能人並...