ソレが問題だ
それでなくとも色々大変な状況なところにとんでもない秘密をかかえてしまった気がする …
せっかくだから驚かせようと、昨日別荘についてから一度も案内しなかったサンルーム に初めて案内した。
別荘についてからずっと、アーサーははしゃぎまくりだ。 食事の食器も可愛らしいものをと思って、ロイヤルアルバートのトランキュリティシリーズで揃えてみたし、それを並べるダイニングテーブルには当然白いレースのテーブルクロス。 もちろんそこにはアーサーの大切なティディを座...
「うああっぁぁ~~!!!」 アーサーを降ろして玄関のドアを開け、別荘の中に入るとアーサーが歓声をあげた。 その嬉しそうな声を聞けただけで、準備した(正確には ” させた ” )甲斐があったというものである。
こうして 1 週間後 … 二人して楽しく選んだ家具が設置されているはずの別荘にわくわくしながら GO !することにする。
結局、アーサーの言葉通りだとすると、やはりおかしいのは父親で、長兄はアーサーを厄介払いしようとしたわけではなく、父親の手から逃がそうとした信用のおける人物らしい。
「俺様な、アルトだけ母親が違うってきいてたから、てっきり母親や兄貴達と折り合いが悪いもんとばかり思ってたんだけど、違うっぽいな。 長兄にしか会ってないけど、わりと普通の兄貴してて驚いた」
考えてみれば今日アーサーの長兄に会うまで、アーサーのかかえている背景について、ほとんどなにも知らなかったことに、 ギルベルトは 今更ながらに気づいた。
「申し訳ない。だが、実家には返さないで欲しい」 まあまあ整った容姿はしているものの、ややいかつい感じのその男は、時間きっちりに来るなり、いきなりそうやって頭を下げた。 スコット・カークランド。 父親の会社で総務部長をしているアーサーの長兄である。
結局病院で診察を受けた結果、市販品ではないため アーサーの実家の製薬会社で作られたのであろう、 皮膚から摂取する系の睡眠薬を使用されているらしいと診断される。
そうだよな、これだけ可愛い嫁がただで見つかるわけがない。 面倒ごとの一つや二つあって当然だろう。
頭が痛い … ほんの少し浮上する意識。 夢を見ていたのか……
嫁が可愛い。 世界一可愛い。 日曜日、待ちに待ったアーサーとのデートだ。 この日のために用意したコート。 実は拒否られないかと内心ドキドキしていた。
……… ?? 最初に違和感を感じたのは、映画館の入ったショッピングセンターについて車を降りた瞬間である。 しかし、休日ということもあってそこは人でごった返していたし、そもそもがアーサーはそんな場所に来た事がなかったので、はじめは気のせいだと思っていた。
それは素晴らしい提案だった。 日曜日にデートをしよう。 映画館に行って美味しいランチを食べて、ティディベア専門店や手芸用品をみよう!
初喧嘩もどきをして、アーサーが体調を崩している間、ギルベルトは仕事を休んで看病をしながら色々調べまくっていた。 なにをか … と言うと、 ” デートコース ” を、だ。
「あ~ … そういうのは好きじゃねえな」 と、それを口にしたのは軽い気持ちだった。
「やばいっ!!嫁がマジ可愛すぎてつれえっ!!!」 今日もギルベルトは隣のビルの悪友の社長室で愛を叫ぶ。
ギルベルトが浴室に消えてから、アーサーはおそるおそるギルベルトの方の寝室へと足を踏み入れた。 明かりの位置がわからず、仕方なしにわずかな月明かりに照らされて薄暗い部屋でくらやみに少し目がなれるのを待つ。 そうしてしばらくして暗さに慣れた目に映った部屋は、ずいぶんと...
「んで?そろそろ名前くらいは聞いていいか?」 そう聞かれたのはプリンの最後の一匙をすくって口に入れたあたりのタイミングでのことだった。