はっきり言ってはっちゃけている。
おそらく本当の女性と結婚していても、こんな遊びをしようとは思わなかったのではないだろうか。
アーサーとだから楽しい。
まあ、アーサーが完全に大人に成長してしまう前の今の時期限定の楽しみというのも互いに思っているところではあるだろう。
話が出てからの1週間、アーサーもすごく楽しそうで、新婚ごっこで着る用に買って無効に届けてもらうことになっている服の何着かと同じものをティディ用に作っている。
「おそろいの服着たティディ持ってたら可愛いだろ」
と、嬉しそうな笑顔が可愛い。
確かに可愛いドレスとかを着せたら可愛いかもしれないが、こうやって普通の服を着ていても、鼻歌交じりにチクチクと縫い物をしているだけで、アーサーは可愛い。
そう思うとギルベルトは、こいつの父親も馬鹿だよなぁ…と、思った。
アーサーの母親がどれだけ美人かはアーサーを見ていれば分かる気はするが、子どもとしてのアーサーだって十分可愛いじゃないか。
こんな可愛い子どもを普通に堪能できる立場だったのに、その機会を失うような行動を取るのは本当に馬鹿だと思う。
現に今のギルベルトにとってはアーサーは配偶者というよりは小さな弟か子どものような存在だが、それで十分幸せだ。
配偶者でも弟でもなんでもいい…
このままずっと一緒に暮らしたいと思う。
こうして2人は車で3時間ほどの高原の別荘に出発した。
荷物はほとんど身の回りの洗面用具くらいで、着替えは全部下着まで新調したので要らず、あとは荷物と言えるのはギルベルトのPCくらいだろうか。
なのでトランクはほとんど空で、後部座席にも片方にはギルベルトのPCバッグで、片方の後部座席にはいつもアーサーがかかえている少し大きめのティディが普段着を着て、シートベルトまでつけて鎮座している。
天気も2人の気分にふさわしく快晴で、平日の午前中だけあって道路もすいていて、気持ちいいくらいだ。
ギルベルトはアーサーと一緒にはしゃいで見せながらも、折々周りを確認して怪しい車がいないかを警戒しているが、特に尾けられている様子もなく、道々は順調だ。
あれから動きがないのが少し気になるが、アーサーの父親も普通に仕事をしているどころか、会社の経営者なのだから、忙しいのも当たり前かもしれない。
一応今回の別荘に行くことについては、悪友2人と副社長、それにスコットにしか言っていないので、尾けられていないとすれば、平和な日々になるだろう。
そうしてなんのトラブルもなく、車は高原の別荘へ。
管理人がきちんと仕事をしていてくれたらしい。
建物が綺麗な状態なのももちろんのこと、庭木もきちんと管理されている。
正面からは対してすごくはないが裏庭はかなり綺麗なフラワーガーデンになっていて、サンルームからの眺めはなかなかのものなので、植物が好きだというアーサーが喜んでくれるかもしれない。
「さあ、2人の新居に到着だ。
おもいきり新婚家庭ゴッコしようぜ!!」
と、駐車場に車を停め、助手席に回ってドアを開けてアーサーを助け下ろすと、ギルベルトは高らかに宣言をして、そのまま少年をかかえあげて別荘の玄関へと向かった。
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