俺明日
桜娘は見たっ! 「さて…と、朱雀通りの花屋、ここか」 しばらく後、久々に正装をしたアーサーは、にぎやかな通りを馬で闊歩していた。
「館から持ち出す物は良いとして…」 リヒテンの部屋へ向かったギルベルトを見送ったあと、アーサーはアントーニョを振り返った。
離京 「さて…アーサーにも少し休みをやらんとな。親御さんにも別れを言いたいやろうしな」 帰る道々アントーニョは考え込む。
夢の行方 「今回の戦も見事だったな。」 アントーニョとギルベルトは戦勝報告にローマの城に来ていた。 畏まるアントーニョとギルベルト。
ゆっくり遊びながら上機嫌のアーサーがギルベルトの庭の垣根をくぐる。 「自分なぁ…たまには玄関から入り?」 眉をしかめるアントーニョに 「え~。面倒くさい」 と、変なところで不精なところを見せるアーサー。
いくさが終わって夜も更けて 「ト~ニョ~!いるか?!」 リヒテンの部屋を出てアーサーはまっすぐアントーニョの離れに向かった。
何が君の幸せ? 「ローマとは…付き合いは長いのか?」 そういえば何故リヒテンのような身分の高い貴族の娘がこのような場所にきたのか、全く聞いていなかった事にギルベルトは気づいた。
行き帰りを含めて5日弱、部屋は毎日きちんと空気を入れ替え、掃除をされていたふしがある。 シン…と静まり返っているのは当たり前の事なのだが、それに妙な違和感を抱く自分がいることをギルベルトは感じていた。
軍師達の休日 「おかえりなさいませ。」 数日後、無事京都のカリエド邸の門をくぐると、笑顔のリヒテンの出迎えを受ける。 それぞれに馬を降り、散っていくなか、アーサーはリヒテンに駆け寄った。
アーサー初陣 - 決戦当日 普段ダラダラと朝の遅い面々も、この日ばかりは早朝から鎧兜をきちんと着込んでいる。 普段屋敷に常駐していない兵士達もいて、見慣れない顔も多い。 アーサーは身支度を終えると大勢の兵に埋もれながら大将であるアントーニョを探す。
アーサー初陣 - 天才と呼ばれる男 戦場まではあと数時間。 夜も更けたので敵に接近する前に野営をする。
アーサー初陣 - 出立の時 カリエド軍に来て1カ月の時が流れようと言う頃 「アーサー様…お気をつけて。アントーニョさんを守ってあげてくださいね…。」 晴天。 いよいよ待ちに待った初陣だった。
アーサーとアントーニョ 「トーニョ!稽古をつけろ!」 縁側にデン!と仁王立ちになるアーサー。 は~っと大きなため息をつきながら、それでものっそりとアントーニョは立ち上がった。 「やるまで帰ってくれへんよな?」 「当たり前だ!半殺しにしてでも稽古をつけてもらう!」 ...
朝ご飯は大切です アーサーの朝は貴族にしては早い。 大抵は貴族は夜遊びに興じ、朝は寝ている。 だがアーサーは剣術に長けた家系に生まれ、さらに稽古をかかさないため、一日は早朝の素振りから始まる。 貴族というよりは武士のような生活リズムである。
第一日目 雅とは程遠い。 クシャクシャっとした黒髪癖っ毛。くるくるとよく動く生き生きとした緑の瞳。 よくよく見ればなかなか整った顔をしているのだが、言動と行動が全てをだいなしにしている気がする。
アーサー、外の世界に足を踏み出す 「やばい!身支度に時間をかけすぎたか!」 カリエド邸に向かう前夜、ほとんど眠れないままアーサーは朝を迎えた。 上にはローマが強引に話を通して、アーサーはとりあえずローマの預かりとして、その実アントーニョの所に向かう手はずになっていた。
アーサー、世界を見る 物心ついた頃には剣を持っていた。 兄は3人。しかし何故か微妙に距離を取られ、また、他の者の兄達と自分に対する扱いもなんとなく違う。 それが貴人の剣術指南役の家で跡取りたる男子が生まれず、しかたなく側室を取り、3人の息子が生まれたあと、正妻であるアー...
ザ・秘書その2登場…せず こうしてアントーニョの新しい配下、アーサーは無事カリエドの武家屋敷に到着した。 「で?もう一人は?」 転げたアントーニョを助けおこし、馬を馬屋に連れて行かせたあと、ギルベルトはアーサーに問いかけた。 「さあ?聞いてないが。別に一緒に派遣された...
ザ・秘書その1登場 いよいよ当日。 どんよりとした副将の胸のうちとは対照的に、そして大将の晴れ晴れした気分を反映するように、すばらしい晴天だ。 部屋は離れに早急に二人分用意した。 風呂、炊事場など最低限の生活に必要なものもそれぞれに。 下人が必要かもしれないが、それ...
波乱の予感 「トーニョ、天晴れな活躍だったな。わずか十分の1の手勢で敵軍を蹴散らすとは真に天晴れ!」 快勝した数日後、アントーニョは上機嫌のローマに呼び出された。 ローマ自らアントーニョとギルベルトに戦勝祝いの杯をそそぐ。 「派手に、圧倒的な力の差を見せ付けてだったな...