kmt ジュリエット殺人事件錆義
「マリア様、久しぶりだ~」 あれから数日後、錆兎と義勇は、シスターに預けてある例の栞を宇髄に頼まれて受け取りに来ている。
「…錆兎…本当にすみませんでした…」 結局別荘に戻って舞は松井が、美佳は宇髄が見ているということになり、いったんリビングに落ち着くと、まず炭治郎が頭を下げ、その隣で状況を聞いて青褪めた顔で禰豆子も同じく頭を下げた。
「雨もだいぶやんできたな。早ければ夜にでも警察が到着できるんじゃないか?」 宇髄は雨の中ぬかるんだ山道を歩きながら言った。 「そうだな。それまでに死人が増えてなきゃいいんだが…」 錆兎は山道についた足跡を追いながら、そうつぶやく。 その “死人” という言...
こうして 3 人で向かった川本の部屋。 宇髄が一歩前に出てノックをするが返事がない。 そこで 「川本、開けろ」 と、さらに宇髄が声をかけると、 「ちょっと待ってくれ」 すぐ中から返答はあったが、それでもドアは開かれない。
こうして宇髄と共にソロリとその斜め後方に控える義勇の目の前で、錆兎は他の者など存在しないかのように室内のあちこちに目を向け、奥に進みバルコニーに出た。 その後また室内に戻り、室内に視線を向け、ぱちりと目を閉じる。
まずは管理人室の松井に錆兎の伝言を伝え、次に 2 階組へも同じく事情を伝え、最後に 3 階組の集まる川本の部屋へ。
「宇髄、一応女性の部屋なんで、ちょっと付いて来てくれ。 絶対に周りの物動かさない様に気をつけろよ? 事件現場は現状維持が基本だ」
「ん~結局 2F は異常なしっぽいな。 これは… 3F の連中集めて事情聴取かぁ。 俺のランニングタイム邪魔してくれたわけだし、みっちりお仕置きしてやんないとな」 腰に手を当ててそう吐き出す宇髄の言葉に錆兎が吹き出す。
「おだやかじゃないな…」 錆兎は綺麗な形の眉をひそめた。 まあおだやかじゃないという意味で言うなら、習い事内のいじめを発端とした人材勝負という時点ですでにおだやかではないわけだが、それにしてもこれは度が過ぎている。
――ロミオとジュリエットはさ、悲劇だろう?だからジュリエットのお前が悲しい恋の終わりを迎えるのは正しいことだよな と、そう付け加えて微笑む錆兎は冷ややかで…なのに泣きたくなるくらい格好良かった。 キラキラと…周りにスターダストのような煌めきが見えるほどに…
「禰豆子っ!!大丈夫かっ?!!!」 前回が前回だけに全員が真っ青になって部屋に飛び込むと、抱き合って震えている善逸と禰豆子。 そして禰豆子が 「お兄ちゃんっ!お化けがっ!!!」 と、善逸から離れて炭治郎に抱きついてそう言うと、窓の方向を指差した。
よもや負けると思ってはいなかったらしい。 舞の側は大騒ぎだ。
宇髄家の別荘は蔦の絡まる石造りの、古い洋画にでも出てきそうな趣のある建物だ。 「見かけは爺さんの趣味でボロいけど、設備はちゃんとしてるから安心してくれ」 などと宇髄は言うが、石造りの建物を保守するのも、きっちりと計算され尽くした植木の手入れも、なまじ最新鋭のビルよ...
「本当にこれで行くのか…」 竈門ベーカリーの前に停まるのは 2 台の ロールスロイスのハイヤー。 こんな高級車を間近でみるのなんて初めてで、炭治郎は少し引き気味だ。 そんな兄の横では妹の禰豆子がその車にキラキラした視線を送っている。
──お兄ちゃん、お願い!今度だけ!! 普段は気丈な妹が涙で目を赤く腫らしながら手を合わせてくる。 妹、禰豆子にとってはそれだけ重要なことらしい。
kmt ジュリエット殺人事件錆義 目次
1_プロローグ 2_華麗なる進軍 3_勝利 4_思い出 5_誰がジュリエットを殺したのか? 6_ジュリエットの見る夢は 7_萌え系推理小説の主人公高校生探偵1 8_萌え系推理小説の主人公高校生探偵2 9_迷探偵スキル発動1 10_迷探偵スキル発動2 11_迷探...