狂愛――ラプンツェルの反乱後編_4(完)

心臓が止まるかと思った…。 いや、止まってしまえばいいと思った。 ドアが開く音に体中に鳥肌が立つ。

狂愛――ラプンツェルの反乱後編_3

奪還 ――思ったより早かったやんな。 いとし子の携帯にしか登録していない特別な携帯から聞こえるコール音。 即でてやりたかったが、待ち構えていたのを悟られるのもあまりよくないので、2コールほど置いて出た。

狂愛――ラプンツェルの反乱後編_2

発覚 「…だめだ……」 もう眠れそうにない。 そう判断して、アーサーは起き上がった。 そしてガウンに袖を通して部屋を出る。 どうせ眠れないなら夜通し本でも読んでいよう。 そう決意して、本を取りに図書室へと向かった。

狂愛――ラプンツェルの反乱後編_1

ジョーンズ家 アーサーがこれまでの人生の大半を過ごした塔から自家用機で数時間。 連れてこられたのは都市近郊にある高級住宅街の一角。 屋上にある自家用ヘリポートから下りて、そのまま邸宅内へ。

狂愛――ラプンツェルの反乱中編_4

反乱 それはアーサーにとって天地がひっくり返るほどの出来事だった。 そう…事実これまで生きて来た人生の全てが虚像だったと自覚せざるをえない事になった程度には……

狂愛――ラプンツェルの反乱中編_3

洗脳…覚醒…そのあとに… ある意味、まるで拷問のようなDVD鑑賞が終わった時にはもう夜だった。 普通に食事、その後、さすがにこんな状態で耐える自信がなかったので、一緒に暮らし始めてから、初めて、1人で入浴すると言い張った。

狂愛――ラプンツェルの反乱中編_2

罠…そして自覚 それは違和感を感じ始めたあの日から、1週間ほどたった頃だった。 「今日な、親分ちょっと忙しいから書斎籠るけど、アーティが見たがっとった映画な、あれのDVDとか含めて、フランが色々送ってきたんや。 食事も作っとくし、他のも適当に見といてええから、適当に...

狂愛――ラプンツェルの反乱中編_1

変化 「もう…ほんま、どないしたん? 反抗期なん?」

狂愛――ラプンツェルの反乱前編_7

「正直…お前が裏に引っ込む日が来るとは、お兄さん思わなかったわ。 すごく意外…。」

狂愛――ラプンツェルの反乱前編_6

塔の上のラプンツェル 大きなキングサイズのベッドと小テーブルに椅子二脚。 ベッドが置かれているのと反対側の壁際には大きなクローゼットがあって、頭の側にはバルコニーにつながる大きなガラス戸がある。

狂愛――ラプンツェルの反乱前編_5

もちろん仕事自体は順調に完遂し、急いで帰宅した時にはまだアーサーは眠っていて、アントーニョもすぐに身を清めて着替えると、その隣にもぐりこんで夜があける。

狂愛――ラプンツェルの反乱前編_4

「アーティ、もう食べへんの?なんか嫌なモンでもあった?」 幼児との二人の生活。 それは、他人と生活をした事がないカリエドと親を亡くした幼児、それぞれに理由があって難しい気もしたが、意外にも和やかな1週間が過ぎていた。

狂愛――ラプンツェルの反乱前編_3

自覚の始まりは狂気の始まりを呼ぶ …ああ、なるほどな。これが殺意言うものか…… 物ごころついた頃には銃を握り、ローティーンの頃には依頼を受けて殺し屋をやっていたにも関わらず、カリエドは一般人にはもちろん、標的にさえ殺意と言うモノを感じた事がない。

狂愛――ラプンツェルの反乱前編_2

幼児が事実に目をつぶった事によって扉は開かれる 標的に対していかなる感情も持たない…そのために貫いていた、余分な情報は聞かない、その姿勢が今回のイレギュラーを招いた原因だった。

狂愛――ラプンツェルの反乱前編_1

プロローグ プシュっとかすかに空気が抜けたような音と共に、若い男が額を赤く染めて床に倒れ伏した。 寄りそうように男にしがみついていた女の声にならない悲鳴。 しかし、次の瞬間には女の方も同じ状態で男に折り重なるように床に転がる。