捕獲完了
◆ 捕獲作戦-開始 「仕事は快適な環境の方が進むんだぞっ!湿気が少なくて涼しい場所はないのかい?!」 超大国の一言で急遽日本の温泉地の旅館で開かれることになった世界会議。そこでスペインとイギリスが同室になることに…。 ◆ 捕獲作戦-決行 無事イギリスと同室になれて距離を...
絡めとる 「アーティー、キスしたって?」 夕日が差し込む部屋。 窓の向こうでは海が赤く染まっている。
SIDE_E 何がどうなっているのかわからない…。 ただの世界会議のはずだった。 夏の日本。 例によって東京は暑いから嫌だというアメリカの我儘から、日本の避暑地、信州の旅館で行われる事になった世界会議。
捕獲完了 世界のお色気担当がまだ誰も知らない体どころか、口づけすらしたことがないなどと誰が思うだろうか…。 未経験だと嫌われると信じていて、結局途中からはそれが理由で誰ともできなかったという。
迷い 部屋に帰ってもイギリスはカタカタと震えていた。 悪意を向けられる事には慣れているはずなのに、怖かった。 いや…怖いのは悪意を向けられる事ではない。 守ってもらえるかも…そう期待してしまうようになるのが、おそらく怖いのだ。
敗北 フランスは動けなかった。 フランスがまだ動くと思い、自分よりはうまく話を進めるだろうと、珍しく空気を読んで黙っていたアメリカがフランスに駆け寄って
排除 「イギリスっ!君いったいどこに行ってたんだいっ?! 日本に釣りとか聞いたけど、湖の釣りはまだ季節じゃないし、海までは遠いし、まさかそこらの川で今までやってたの?! ホントこんなとこまで来てバカじゃないかい?! しかたないから明日は場所を考えるって事がわからない君...
策略 多くの保守的な人間がそうであるように、プライベートに限って言うと、良くも悪くもイギリスは不意打ちに弱いと思う。 だから何か我を通したい時はサプライズを持ってくるといい。 もちろんそれを不快感や警戒心を煽るようなものにしないことは気をつけなければならないし、それに...
告白 「日本はなんて?」 「こっちに届けてくれる言うとったよ。ついでに移動用の車のキーもな。」 ゴキゲンで戻ってきたスペインに布団の中からイギリスが声をかける。 「移動用の…車?」 布団を口元まで引き上げて目だけ出して聞く姿が可愛い。 思わず口元をほころばせなが...
画策 「ちょおこのまま待っとっててな。 日本ちゃんに朝食もこっちに運んでもらうように言うとくから。」 スペインはスッとイギリスの頭を撫でていた手を止めると、そう言って起き上がった。 そして続いて起き上がろうとするイギリスを手で制する。
絡めとる 温かい…。 毛布とか無機物ではなく、血の通った生き物の温かさ…。 幼い頃に抱いて眠ったウサギが自分が知る唯一と言っていい生き物の温かみだったイギリスは、その小動物とは違うぬくもりに不思議に思って目を開けた。
狂気と愛情 (よぉ寝とるなぁ…発作起こして疲れたんやろな……) 食事を終えて寝支度を整えると、スペインはイギリスを起こさないようにソッと自分の布団をイギリスのそれに寄せる。
捕獲開始 「…スペイン……なんで?もう食事終わったのか?」 イギリスが目を覚ますとそこに相変わらずスペインがいた。
捕獲決意 ああ…やっぱり早急に自分が抱え込むべきなのだ… ようやく呼吸が楽になって力尽きたのか、意識を失うように眠ってしまったイギリスの金糸の髪をなでながら、スペインは決意を新たにした。 大勢の中から緩やかに特別な存在に…などという悠長な事をしていたら手遅れになる。...
溺れるモノ 予定より早めに会議が終了し、同室になってしまったスペインと二人きりになる時間が多くなったことにイギリスは頭痛を覚える。 心の準備なんて当然できてない。
初日 「いらっしゃいませ」 バスから降りると宿の女将や中居さん達ににこやかに迎えられる。 イギリスは日本との交友が深かったため、何度かこういう和風旅館に泊まった事もあるが、この風情が良いと思う。
プロローグ 暑い夏。日本の夏。 8月も真っ盛り、世界会議の会場は日本だった。 あまり付き合いのなかった国はとにかくとして、日本をよく知る国々はその会場にうんざりした顔を見せる。