青年のための白銀の童話 第二章_6

熱 「アーサー、起きとる?」 コンコンと軽くノックをしても返答がないので、アントーニョはソッとドアを開けてアーサーの寝室へと足を踏み入れた。 灯りの消えた部屋の中で、ほぼ手探り状態でベッドに近づく。

青年のための白銀の童話 第二章_5

愛し子 年相応の楽しげな様子に若干安心しつつもアントーニョが種を植えた植木鉢を冷気にさらされないように室内に並べ終わった頃にはもう日が傾いていた。

青年のための白銀の童話 第二章_4

トマト 「あ~、俺ええもん持っとったわっ!」 何か楽しみに思えるキッカケになる物はないか…と思った時に、アントーニョは自分が常に持ち歩いている種の事を思い出して、部屋へ飛び込んだ。 そして自分が着てきた服のポケットを漁る。

青年のための白銀の童話 第二章_3

決意 「取り乱してすまなかった…。お前が悪いわけじゃない。 ただ…本当に俺を守る必要はない。」 しばらく泣いた後、アーサーは落ち着いた…というよりも自制心が戻ったらしく、青い顔をしたまま微笑んだ。

青年のための白銀の童話 第二章_2

爆発 アントーニョが隣室に行くと、テーブルの上には朝食が用意され、アーサーが自らカップに紅茶を注いでいるところだった。

青年のための白銀の童話 第二章_1

ぬくもり 夢を見た…。 小さな子どもと過ごした頃の夢。

青年のための白銀の童話 第一章_5

決壊 「やっぱり…捕まったのか……」 護衛として王子の部屋の続き部屋に一室与えられたアントーニョを迎えたのは、さきほどの少年だった。

青年のための白銀の童話 第一章_4

交渉 「それで?お前は何者?…ああ、庭師などと言うやりとりはやめてね。俺は無駄なやりとりで時間を潰すのは好きじゃないから。」

青年のための白銀の童話 第一章_3

疑念 アントーニョが寝ていたのはどうやら城の中庭らしい。 一面のバラ園を抜けて少年が向かったのは、城の裏庭。 そこはどうやら使用人達の宿舎があるらしい。

青年のための白銀の童話 第一章_2

天使の牢獄 ぼ~っとした意識の中に入ってきたのは微かな痛みと良い匂い。 柔らかな布の感触の心地よさに思わず頬ずりをすれば、ビクリと頭の下の何かが身じろぎをする。

青年のための白銀の童話 第一章_1

裏切りの夜 「ソッチに行ったぞっ!!逃がすなっ!!」 バタバタと追手の足音が通りすぎるのを確認すると、アントーニョはフラリと開いた空き家のドアから中に転がり込んだ。