温泉旅行殺人事件アンアサ 後編_4

「なんか…色々えぐられる事件だったよなぁ…」 帰りの電車の中でギルベルトがつぶやく。 「まあねぇ…人間関係考えさせられたよ、色々」 フランも脱力したように肘掛けに肘をついて言った。

温泉旅行殺人事件アンアサ 後編_3

「一応…物理的に今回起こった事をわかる範囲で追ってみましたが…」 ギルベルトが言うと、 「ありえない天才だな、君は。やっぱり凡才は天才には勝てないのかな、一生」 と、光一は言って小さく息を吐き出した。

温泉旅行殺人事件アンアサ 後編_2

30分後、現在宿泊客のいない使ってない離れ。 きちんと香も炊かれているその離れの和室には大きなホワイトボードが用意され、毎度おなじみの4人組、氷川夫妻、OL3人組、老夫婦、秋ちゃん、そして和田がギルベルトの依頼によって集められている。 行方不明だったはずのギルベルトまでいる...

温泉旅行殺人事件アンアサ 後編_1

救出されて旅館の従業員用の宿舎の一室にかくまわれながら、ギルベルトは自分が動けないと言う事のつらさを実感していた。

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_12

その後聞きたい情報を和田から全て聞き出してギルベルトは頭の中でそれを整理し始める。 犯行推定時刻は17:20から18:40。 18:40というのはギルベルトの推測通り20:40に発見された遺体の状況から死後2時間以上はたっていると判断されたためらしい。 そして、17:20に...

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_11

フランが氷川夫妻の離れに行って20分ほどした時、アントーニョ達の離れの玄関で 「ごめんください」 と声がかかった。 「はい」 その声に止める間もなくアーサーが転がり出て行く。

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_10

「…たく…。心配性だから、みんな…」 氷川夫妻の離れへ向かう道々、フランはそう言って苦笑した。 「まあ…好きな子に負けるってのも情けなくはあるんですけどねぇ…」 前にいる人間が部外者な気楽さもあって、フランはついつい本音を吐きだした。

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_9

そのとき… 「こんばんは」 と声がする。 「来たな…。丁度いい、フラン、お前が出てくれ。」 アーサーが油断のない視線を玄関の方へ送り、フランをうながした。 「おっけぃ」 フランが湯のみをおいて立ち上がり、部屋を出ると玄関に降りる。

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_8

「フラン、この宿ってフランソワーズさんの友人がやってるって言ってたな?」 「ああ、母さんの幼馴染なんだよな。俺も小さい頃あった事あるよ。秋ちゃんっていう和風美人。」 「じゃ、なんとかならないか?母屋で非常ベルを鳴らしてもらって、離れの人間をみんな母屋に集めたい。他には理由を言...

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_7

眩しい…。 フランは眩しさに腕で明りをさえぎった。 「フランっ!!気がついたか…」 明りと自分を遮るようにできる影。 聞き慣れた声がそう言って、大きなため息。

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_6

嫌な予感がする…。 犯人の指示で警察を含む全ての人間が外庭に出るのを禁じられているので、アーサーは不安な表情で母屋から外庭に向かうフランの後ろ姿を見送った。 まあ…おそらく自分は過剰な悲観主義者なんだろう、楽観的な方向に考える事などまずないわけだし…と思ってはみるものの、嫌な...

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_5

一方フランが目を覚ましたのも和田からの内線でだった。 アントーニョ達と違うのは… 「犯人が身代金の受け渡しにボヌフォアさんを指名しています」 という一言。 何故自分なのか、と驚くと共に、怪我人のアーサーにまた無理をさせずにすむ事にホッとする。

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_4

目が覚めたのは鳴り響く内線でだ。 14時にベッドに入って時計に目をやるともう18時だった。 起きてまずしたのは、腕の中のアーサーの確認。 気持ちよさそうに腕の中で眠っているその寝顔は可愛くて、胸が高鳴る。 急いででないとならない内線で起きたのは、そういう意味では幸いだった...

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_3

フランが身代金と引き換えに無事に戻った…そして新たな身代金の要求。 まあ…それでギルベルトも無事戻るんだろうな…と、アントーニョは布団の中でぼ~っと思った。 そして、ホントに…ギルちゃん”凶”やったな、と内心苦笑いを浮かべる。 せっかくの泊まりだというのにホントについてない...

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_2

一番端にある現在宿泊客の泊まってない離れ。 誰もいないはずなので鍵はかかっていない。 二人は靴もぬがずに中に入って寝室の洋室に駆け込んだ。

温泉旅行殺人事件アンアサ 中編_1

犯人の指示なのか、殺された小澤の離れのあたりは別にして、他の離れの周りには警官がいない。 アーサーはスーツケースを手に母屋を抜けると、指示通り左の道を通って露天方面へと急ぐ。 重いスーツケースを持って走る事10分。電話がなる。

温泉旅行殺人事件アンアサ 前編_8

そんな話をしながらちらりと時計に目をやるともう7時半だ。 仲居さんが食事を運んでくるので雅之も自室の離れに戻って行く。 アントーニョは並べられた料理を見てアーサーを起こそうか少し悩む。 寝かしておいてやりたい気もするが、きちんと食べさせないといけない気もする。

温泉旅行殺人事件アンアサ 前編_7

「どうしよう…俺のせいだ」 離れに入るなり泣き崩れるアーサー。 「俺が草履なんて履き換えにいったから…」 「ちゃうよ、あーちゃんのせいちゃう。そもそも浴衣着せたんも草履はかせたんも俺やしな。 それにフランとギルちゃんは殺しても死なへん奴らやから大丈夫やで。」

温泉旅行殺人事件アンアサ 前編_6

その時! 「大変ですっ!!!」 各部屋を念のためにと確認しにいった従業員が顔面蒼白で戻って来た。 「小澤様が殺されてますっ!!」 再度フロントがその旨を警察に連絡して、花火を見物していた宿泊客も安全のため母屋へと集合させられた。 やがて警察が到着。 従業員が事情を説...

温泉旅行殺人事件アンアサ 前編_5

「ここまで重かっただろ…それに付き合わせて悪い…」 離れについてとりあえず床に下ろされたアーサーが言う。 「別に重ないで~。俺普段畑仕事で鍛えとるし、あーちゃんむしろ痩せすぎや。もっと食わなあかんで~。腕とかめっちゃ細いやん」 とアントーニョは答えて 「それよか怪我せえへ...