寮生はプリンセスがお好き
「おぉっ?!すげえっ!!」 立派な刺繍のマントを手に驚くギルベルトにアーサーはフフッと嬉しそうに笑う。 「誰かがプリンセス戦争で金虎のカイザーが金の虎の刺繍のマント着てたって言ってたから…うちも着たらカッコいいかなと思って、こっそり刺繍してたんだ」 と言うプリンセスは最高に可愛い...
──あ~、仕方ねえっ!三銃士、誰かお姫さんとルッツを呼んで来てくれ。 結局ギルベルトは決断せざるを得なかった。 少なくとも知らなければもう少し放置できたものでも、こうして知ってしまえば学園の伝統と誇りを踏みにじろうとする輩を放置するのは、ギルベルトの心情うんぬんは置いておいても寮...
「…軍曹、あの……」 案内の寮生に先導されて寮長室のリビングに入ってきた金竜のプリンセス、シャルルは、少し落ち着かなげにそこにいるバッシュにチラリと視線を向けつつ口を開いた。
「銀狼寮、恐ろしいな。 勝てる気がしてこない…」 モブース達の説明を受けたあと、ユーシスは驚きを隠せないように小さく首を横に振りながら言った。 「統率取れすぎだろ。 他の寮でも優秀な寮生は居るが、これだけ優秀なのに自己主張がほぼなくて、カイザーファーストな寮生なんて見たことがない...
「全員の確認終了。 結論から言うとロディの排除は了承。 ただし…それに関しての責任は銀虎で取ること。 つまり、俺らはお前に協力を求める見返りとして、ロディの排除というお前の側の条件を受け入れたという形を崩さないこと」
ユーシスを寝室に残してギルベルトは再度リビングへと戻ると、その場で待っていた自分以外の6人に事の次第を説明した。
最悪巻き込まれたくないと協力を断られる可能性は考えていたのだが、条件…を出されることは正直想定の範囲外だった。 それでも出来れば協力が欲しいので 「…こちらの計画に支障がないことで、俺の一存で決められる範囲のことなら?」 と先を促してみるとユーシスは言った。
ギルベルトがメッセを送ってからほんの数分後、今度は電話の着信音がする。 「今、外か?」 と電話に出て聞くと、 『ああ。そうだ』 と返答があった。
ギルベルトがアーサーをルートの部屋に送って行って戻ると、すでにギルベルトの寝室の窓の外の木の上に香とフェリシアーノが待機していた。
「じゃ、終わったら迎えに行くから。 お姫さん一人くらい抱えて帰れるから眠かったらルッツのベッド借りて寝てても良いぞ」