寮生はプリンセスがお好き10章19_銀の虎合流

ユーシスを寝室に残してギルベルトは再度リビングへと戻ると、その場で待っていた自分以外の6人に事の次第を説明した。

「…ってことでな、ロディを切ることに賛同して引き込むかどうか、引き込むなら誰までなら顔晒して良いかの確認を早急に取りたい。
切るのに賛成な奴は?」
と挙手を求めれば、即手を挙げるバッシュと他寮組の二人。

「お前らは反対か?」
と、理由はあとでと言いつつ挙手していないモブ三銃士に声をかけると、3人は口を揃えて
「俺らはカイザーの物語のモブなので、カイザーの意志が俺らの意志です。
だからもしカイザーが賛成なら賛成、反対なら反対と思って頂ければ幸いです」
と言う。

それに香が
「銀狼、もう羨ましいすぎるくらいには訓練されてね?
身内が一番信用できないうちの寮と交換してほしすぎ」
と、大げさな動作でため息をついた。

それには苦笑で応えながら、ギルベルトはとりあえず自分の判断材料としても知りたいから…と、賛成の3人にその判断の理由を求めた。

それに最初に答えたのはバッシュだ。

「悩むことなどなかろう。
裏切る確率がある人間は排除できるならするのがリスク管理上理想である」

その言葉にうんうんと頷く香。

「俺的にはもうこれ以上いつ裏切るかわかんない爆弾抱えるのは勘弁な感じ?
そんなのうちの寮生だけで腹いっぱいすぎ」

「さらにリスク管理と言う意味では…排除できるのは理想だが排除に失敗した際に先頭に立ったのが己ではないと言う形を取ることができるのはさらに理想なのである。
今回、その責任を銀虎が負うと言うのなら、我々はさらにリスク回避をできるのである」

うっわあぁぁ…とバッシュ以外の6名がそれぞれ生温かい目で声をあげた。

「傭兵会社社長、マジヤバッ!
もうリスペクトしかねえ」
と香が笑えば、フェリは
「確かにね。
逆に今回協力してもらえる条件がそれだったって言えば、二正面戦になる確率が減って良いよね」
と真剣な顔で頷く。

「…というわけで、ギルが反対でないなら、金竜の寮長排除は銀虎の寮長の判断で、それが銀虎が協力する条件で、我々はそれを受け入れただけという形を崩さないということで受け入れても良いと思うのである。
参考までに…我は銀狼の寮生で寮長に従うのは当然の立場なので、今回の作戦とのかかわりがあると名と顔を出されても、当たり前だが全く問題はない」

最終的にバッシュがそう言えば、モブ三銃士も
「もちろん、俺達もバッシュさんに同じくですっ!
もっとも…銀狼寮生はそもそもが同じ立場ではありますが」
とピシっと手を挙げて言う。

そこでギルベルトはそれに頷きつつ、視線は他寮組へ。

「ってことで、銀狼寮は寮を挙げて今回の争いに身を投じることになる。
当然寮としてだから、全員一蓮托生だ。
で?お前たちはどうする?
それぞれに事情があるし、表立つのはまずいだろうから、全体に対してはおいておいて、ユーシスには顔を明かすか明かさないか。
ユーシスが信用できない、あるいはぎりぎりの保険をうっておきたいと言うなら別に明かさないという選択肢をしても、俺様と銀狼寮が間に入る」

それにフェリがそろそろと手を挙げて、少し不安げにギルベルトを見上げた。

「ギルベルト兄ちゃんからするとさ、どんな感じ?
ユーシスは大丈夫そう?」

「あ~…あいつは自寮のプリンセスに害を与えない限りは裏切らんかな。
めちゃくちゃしたたかで策略家で…しかも自分の感情すら客観視するレベルの理性だから、誰かに操られる心配もないと思う。
少なくとも敵さんがプリンセスに害を与える気も満々なのが確かな時点で敵側につくことはねえし、じゃあ銀虎のプリだけ特別に害を与えないからと言って味方に引き込もうとしても、そんな約束は信用できねえってわかるくらいの知能はある」

「…つまり…信用できそう?」

「俺様はそう思っている。
だが俺様も神様じゃねえからな。
俺様の判断を信じるかどうかはフェリちゃん次第だ」

ギルベルトの言葉にフェリシアーノはふぅぅ~~…と彼にしては長い長いため息をついた。
そして顔をあげる。

「うん。いいよ。
俺の事情も晒していい。
たぶん…味方にすればすごく強力なのは理解したし、なにより、味方を増やしていかないと爺ちゃんの学校はどんどん悪い奴らに浸食される一方だからね。
俺もいい加減覚悟を決めないと…」

…でもいざとなったらアーサーの次で良いから守ってね、と、真剣な顔からいつもの笑みに戻って付け足すフェリシアーノ。

それに続いて視線を向けられた香は
「俺?」
と自分を指さして言う。

「むしろウェルカムじゃね?
王大人はアジア系には強いけど、欧州系はまだ人脈が少ないし?
バイルシュミットとつながり作って、実は俺、ボーナス出てるくらい。
さらにユーシスんとこのアウスレーン家とのつながりつくれば、マジ次のボーナス、ウハウハな感じ?
シャマシュークに入学したのもゴリプリのための人脈造りもリーズンの一つだから」
と、当たり前のように笑って言った。

こうして全員一致でユーシスの条件を受け入れつつ彼に身バレすることを了承したところで、ギルベルトは再度寝室へと戻っていった。











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