kmt 短編
そんなある日のことである。 ──姉ちゃん、これ…… と不死川家の3男にあたる弟就也が出して来たのは折れたシャーペン。
──貞ちゃん、ごめんね。でも…… と申し訳なさそうに言う亜優は貞子にとって最後の友達だった。
当日、実際に会った彼も素晴らしかった。 なまじずっと女子校育ちで周りに父親以外の男性がいなかったため、理想が高くなりすぎてしまった感のある蔦子でも、文句がつけようがない。
それからも義勇と鱗滝君の距離は順調に縮まって、それと同時に彼は不死川から義勇を守ってくれるようになった。
蔦子の自慢の妹義勇は大変成績がよろしかった。 あれだけイジメられて登校するのも辛かっただろうに、なんと学年1位だったのである。 なので新入生代表の挨拶をすることになった。
その他は義勇の小学校についてはあまり良い思い出はない。 それどころか小学校5年生のとある日、とうとう義勇が泣きながら学校に行きたくないと言い出したのだ。
冨岡蔦子は妹が大好きだ。 妹は本当に本当に本当に可愛い。
…ということで、その週の日曜日。 鱗滝君が義勇の家に来てくれることになった。 嬉しいと言えば嬉しいが、心配と言えば心配だ。
まあどちらにしても、不死川が絡んできても鱗滝君はもちろん、伊黒君や甘露寺さん、煉獄君に村田君と班員みんなに囲まれていたら、今までと違って不安はない。
──返事はどうしたァ~! 鱗滝君から煉獄君の弟と不死川の弟の間に起った諸々を聞いた翌々日、義勇がいつものように伊黒君と甘露寺さんと共に登校していると、不死川が『おはよー』と挨拶してきた。