ジュリエット殺人事件_12

「あれが噂のマリア様~♪」 年明け…結局4人で初詣をすませたあと、噂のマリア様見物に聖星女学院前まで足を運ぶ。 いかにもミッション系女子校らしい綺麗な4階建ての校舎の上にそびえ立つ重ねた両手を胸に当てた聖母マリア像に右手を向けて、にこやかに微笑むフロウに、コウはちょっと青ざめ...

ジュリエット殺人事件_11

「コウさん…怪我です?」 唇を離すと聞いてくるフロウに、あまり心配をかけたくないので 「ああ、まあたいした事ない。それより姫はどうして?お祖父さんの家じゃなかったのか?」 と、聞くコウ。 その言葉にフロウはポンと手をうって 「そうでしたっ♪」 と、ポシェットの中を探っ...

ジュリエット殺人事件_10

「雨…完全にやみましたね……」 コウが空を見上げる。 「…うん…」 脱力したまま答える藤。 藤的には色々が衝撃だっただろうな…とコウは思う。 これ以上…引っ張らせるのは無理なんだが…さて何で美佳の気をひこうか…

ジュリエット殺人事件_9

豪雨だった雨は少し小降りになってきている。 「近道するかな」 藤はキキ~!とタイヤの音を鳴らしてワゴンを反転させた。 「ちょっと林つっきるからしっかりつかまっててね」 と、そのまま横の林へ。 「ちょっ、藤さ…ん!地盤緩んでるんじゃ?いま」 ユートがドア横の手すりにしが...

ジュリエット殺人事件_8

「川本さん、開けて下さい」 川本の部屋のドアは鍵が閉まっていたのでコウはノックした。 「ちょっと待ってくれ」 すぐ中から返答はあるものの、なかなかドアは開かない。

ジュリエット殺人事件_7

「まず…木戸さんの寝返りの顛末から。 木戸さんは二宮さんに何か弱みを握られていて、本当は心情的には遥さん側につきたくてそのつもりだったのを、そのネタを盾に二宮さんに引き抜かれました。 これは…サービスエリアでの木戸さんの表情や態度から感じた印象。

ジュリエット殺人事件_6

とりあえず2F組への報告をすませると、藤は松井に指示して食料を調べさせる。 幸い…食料の方は薫製やパン、チーズなど豊富にあり、松井にそれを各部屋の冷蔵庫へと移させた。 その上で藤が舞の部屋に戻ると、コウはバルコニーにいた。

ジュリエット殺人事件_5

翌朝…。 コウの朝は早い。 毎日の習慣で目覚ましがなくとも5時には目が覚める。 普段だとこれからランニング&基礎鍛錬なのだが…窓の外はあいにく昨日から続く雨がまだ降り止まない。 軽く室内でできる屈伸、腹筋、腕立てなどをやってはみたものの…物足りない。

ジュリエット殺人事件_4

一方…残されたユート達。 舞達はすごい勢いでもめているので、いったん部屋に戻ろうと2Fへの階段を上がるが、そこで遥が一言 「ね、これから女3人で露天入らない?」 「お~、いいねぇ」 とそれに藤が答えた時点でそれは決定事項となった。

ジュリエット殺人事件_3

「うっあ~、見事なふりだね」 屋内駐車場に車をいれると、荷物を運び出しながら藤は苦笑した。 外はすごい豪雨だ。

ジュリエット殺人事件_2

そして翌日… 「悠人の姉の遥です♪今回はホントに突然無理言ってごめんなさいっ!来てくれてありがとう♪」 当日…別荘を提供してくれると言う遥の友人が何故か運転するワゴンで現地に向かうため、待ち合わせ場所であるユートの自宅前にコウが姿を現した途端、遥が化けた。 これ…ターゲット...

ジュリエット殺人事件

世の中…わかっていても避けられない災難という物はある。 ユートこと近藤悠人17歳。 姉と妹に囲まれた中間子という立場から、おそらく誰よりもそれを壮絶に思い知らされて育って来ている。