ソレが問題だ
結局、アーサーの言葉通りだとすると、やはりおかしいのは父親で、長兄はアーサーを厄介払いしようとしたわけではなく、父親の手から逃がそうとした信用のおける人物らしい。
「俺様な、アルトだけ母親が違うってきいてたから、てっきり母親や兄貴達と折り合いが悪いもんとばかり思ってたんだけど、違うっぽいな。 長兄にしか会ってないけど、わりと普通の兄貴してて驚いた」
考えてみれば今日アーサーの長兄に会うまで、アーサーのかかえている背景について、ほとんどなにも知らなかったことに、 ギルベルトは 今更ながらに気づいた。
「申し訳ない。だが、実家には返さないで欲しい」 まあまあ整った容姿はしているものの、ややいかつい感じのその男は、時間きっちりに来るなり、いきなりそうやって頭を下げた。 スコット・カークランド。 父親の会社で総務部長をしているアーサーの長兄である。
結局病院で診察を受けた結果、市販品ではないため アーサーの実家の製薬会社で作られたのであろう、 皮膚から摂取する系の睡眠薬を使用されているらしいと診断される。
そうだよな、これだけ可愛い嫁がただで見つかるわけがない。 面倒ごとの一つや二つあって当然だろう。
頭が痛い … ほんの少し浮上する意識。 夢を見ていたのか……
嫁が可愛い。 世界一可愛い。 日曜日、待ちに待ったアーサーとのデートだ。 この日のために用意したコート。 実は拒否られないかと内心ドキドキしていた。
……… ?? 最初に違和感を感じたのは、映画館の入ったショッピングセンターについて車を降りた瞬間である。 しかし、休日ということもあってそこは人でごった返していたし、そもそもがアーサーはそんな場所に来た事がなかったので、はじめは気のせいだと思っていた。
それは素晴らしい提案だった。 日曜日にデートをしよう。 映画館に行って美味しいランチを食べて、ティディベア専門店や手芸用品をみよう!