ソレが問題だ
初喧嘩もどきをして、アーサーが体調を崩している間、ギルベルトは仕事を休んで看病をしながら色々調べまくっていた。 なにをか … と言うと、 ” デートコース ” を、だ。
「あ~ … そういうのは好きじゃねえな」 と、それを口にしたのは軽い気持ちだった。
「やばいっ!!嫁がマジ可愛すぎてつれえっ!!!」 今日もギルベルトは隣のビルの悪友の社長室で愛を叫ぶ。
ギルベルトが浴室に消えてから、アーサーはおそるおそるギルベルトの方の寝室へと足を踏み入れた。 明かりの位置がわからず、仕方なしにわずかな月明かりに照らされて薄暗い部屋でくらやみに少し目がなれるのを待つ。 そうしてしばらくして暗さに慣れた目に映った部屋は、ずいぶんと...
「んで?そろそろ名前くらいは聞いていいか?」 そう聞かれたのはプリンの最後の一匙をすくって口に入れたあたりのタイミングでのことだった。
世の中にこんなイケメンて存在するんだ … と、目を開けて眼の前の人物を見て、まず驚いた。
生まれ落ちた時からずっと、ひとりぼっちには慣れていたはずだった。 だから平気だと思っていたのだが、実はそんなことはなかったようだ。 今、ひさびさにひとりきりになって、すごく心細い。
「スコット、ひどいっ!!」 と、正妻が泣いた。 いきなり泣き出した。 泣きながら長兄を糾弾する。
こうして正妻がアーサーの…ではないが、スコットの味方についた。 そして父親が帰宅する時は他の2人の息子たちとともに、自分の部屋に呼んでくれる。 父親はというと、母と息子3人のタッグを組まれるとなかなか強くは出れない。 息子たちだけなら自分の管理下の人間だが、母親は...
こうして修羅場が始まった。 最初のうちは普通に自宅に居なければ良いのかと久しくつかっていない別宅に泊まらされていたが、父にしても正妻にしても、理由はそれぞれ違うのだが執着の度合いが尋常ではなく、本当に決死の逃亡生活を余儀なくされることになった。