ソレが問題だ
長兄が向かった先は、普段生活している自分のマンションだった。 そこに弟たちを連れて入るとしっかり鍵をかけて、はぁ~とため息をつく。 そうしていったん落ち着くと、わけがわからないなりに何かまずいことになったらしいと、それまでは黙ってついてきていたあとの 2 人の兄たちが...
思えばアーサーの人生は諦めに満ちていた。 生まれ落ちたその日に実母が死んだらしい。 それは仕方ない。 そこまでは仕方がないことだ。 だが、その実母はとある会社の社長の愛人で、自分は非嫡出子。 そこもまあ仕方ない。 母が死んで引き取り手がない...
「やばいっ!!嫁がマジ可愛すぎてつれえっ!!!」 翌日の昼休み。 自分が勤務する本社ビルの斜向かいの他社ビルの社長室でギルベルトはご立派なローテーブルに突っ伏して叫ぶ。
ギルベルトのマンションはひとり暮らしするにはやや広すぎる。 間取りも広ければ部屋一つ一つも広い。 なので広々とした寝室には 1 人で寝るには広いベッドを置いているのだが、その上には帰宅時にだきしめていたあのクマをしっかりかかえこんだ少年がちょこんと座っていた。 ...
こうしてギルベルトが夕飯の片づけを終えて風呂上りに飲ませようと冷たいレモン水を用意していると、アーサーがフロを終えてリビングに戻ってきたようなので、レモン水の入ったグラスを持ってリビングへと向かう。
「んで?そろそろ名前くらいは聞いていいか?」 ゆったりと少年が食事を終えるのを待って、プリンの最後の一匙をすくったあたりで、ギルベルトはそろそろ、と、切り出した。
… え~っと …… これ、警察?児相? 正直動揺した。 ギルベルトはリビングで立ち尽くす。
パタンと閉まるドア。 ギルベルトは一人になったところで、片手で顔を覆ってため息をついた。
ソレが問題だ 目次
仕組まれた婚姻 誘拐疑惑?! 衝撃!嫁はお子様、ノット・ノータッチ 悪友談義 狂気 逃亡 政略結婚 ギルベルト・バイルシュミット 夫婦の定義 社長室の中心で愛を叫ぶ 初めての夫婦喧嘩 初デートは危険がいっぱい 緊急会議 家族像 楽しい別荘計画 新婚ご...
「この中から好きなのを選び給え。 我々も鬼ではないのだよ。 ちゃんといくつか選択肢を用意してみた」 それは 24 歳の誕生日。 大学を 2 年スキップして 20 歳で卒業し、社会人となって 4 年目のことである。