仕事でも、遊びですら…」
ああ、美味しかった、ごちそうさまでした…と、昼食を抜かしかけていたわりには、いったん食べると決めてからはとても美味しそうに食べ終えた本田は、そう言って手を合わせた。
と、本田から若干遅れて食べ始めてまだ食事中のギルベルトが食べながら視線だけ本田に向けると、彼はにっこりと
「新人のお嬢さん、ずいぶんと親身に面倒をみていらっしゃるじゃないですか」
と、茶をすする。
その言葉にギルベルトは複雑な顔になった。
「あ~…なんつ~か…ネット慣れしてない初心者のお嬢ちゃんがせっかく初ゲーム楽しんでんだから、変な輩で挫折することなく、楽しいままでいさせてやりてえっていうか……」
──ぶっちゃけあそこまで困ってますオーラ出されると放っておけなくね?
と、眉尻をさげるギルベルトに、
「そういうところがあなたらしいですよね」
と、小さく吹きだしたあとに、本田は
「でも…」
と、少し真顔になった。
「ん?」
「アリアさん、リアル女性だと思います?」
と、壁に口あり障子に目ありとばかりに声をひそめて言う本田に、ギルベルトは、あ~…と、天井に視線をやって、少し考え込んだ。
「俺様はネットの知人のリアルに関しては一切気にしねえし、追及もしねえって主義なんだけどな…」
と、前置きをした上で、
「女にしては女っぽすぎるんだよなぁ…とは思う」
と、続ける。
「はあ?」
ポカンとした顔をする本田。
「えっとな、俺様、結構いっしょくたに育てられた女の従姉妹がいるんだけどな、こいつが見た目は立派な女なんだけど、中身が…な、えげつねえ。
で、学生時代とかに周りにいた女達も一皮むけばそんな感じで、なんつ~か…女ってもっとギラギラしてるイメージなんだよな」
「…はあ……では男性だと?」
「ん~それもなんだか違うっつ~か……
ネカマのカモフラージュの話題にしては、本気で色々詳しいしなぁ…
雰囲気とかもなんか自分やジジイとかと同性とは思えねえんだよなぁ…」
「そうですよね。美味しいお茶の淹れ方とか、刺繍の糸の話とか、好きな花の話とか、そうと主張するわけではないのに、会話の端々に愛らしさがにじみ出てるんですよね…」
「…ジジイはどっちだと思う?」
「私は女性だと思います。
あ、でも別に粘着とかする気はありませんよ?
ただ、少し離れて愛らしい様子を眺めつつ癒されたい派です」
という本田の言葉に、──ジジイらしいなっ──と、今度はギルベルトが小さく吹きだす。
それに対して本田はコメントはせず、話を最初に戻す。
「で、ギルベルト君は結局どちらだと思われてるんです?」
「ん~~難しいところだけどなぁ…。
今時の女にしては女らしすぎて、でも男っぽい感じもしない。
だから、う~ん……世間知らずな老婦人ってとこか?」
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とある白姫の誕生秘話始めから
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